二宮金次郎とカッタン娘(こ)
ご存知、二宮金次郎の銅像です。
新発田市立外ヶ輪小学校の正門左横に立っています。
50年前は、右横だったと思います。
二宮金次郎は、江戸幕末の農村再興の指導者でした。
勉学に励み、質素勤倹、実践をもって多くの農村を救済しました。
まことに日本人の鑑といえる、尊敬すべき人物です。
戦前は、国民の思想教育に利用され、銅像も建てられました。
その反動と、効率優先の経済発展の中、忘れられた存在になっています。
薪を背負って、歩きながら本を読むなど、はやらなかったのです。
しかし、状況は変わりました。
携帯電話を手にかざし、バッグを肩にして、あの金次郎スタイルの復活です。
新宿駅南口の階段を、画面を見ながら、女金次郎が降りていきます。
カッタンコ、カッタンコ、ヒールのかかとが響きます。
画面を後の人に覗かれるから、エスカレータには乗りません。
器用にメールを打ちながら、女金次郎が降りていきます。
カッタンコ、カッタンコ、長~い階段も気になりません。
薪にわらじのの元祖金次郎は、二千年前の古典を読んでいました。
バッグにヒールの現代金次郎は、数十秒前のメールを読んでいます。
ま、それだけのことですが。■