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ふるさと詩歌 ~ 遠きにありて思ふもの

◆室生犀星(1889-1962)の詩
『小景異情 その2』(叙情小曲集より)

 ふるさとは遠きにありて思ふもの
 そして悲しくうたふもの
 よしや
 うらぶれて異土の乞食(かたゐ)となるとても
 帰るところにあるまじや
 ひとり都のゆふぐれに
 ふるさとおもひ涙ぐむ
 そのこころもて
 遠きみやこにかへらばや
 遠きみやこにかへらばや

  ◇ ◇ ◇

ふるさとは、一度帰りそびれると、つい遠くなり、
やがてさらに遠くなり、はるかに遠くなる。
「遠きにありておもふもの」は、我が逃げ口上でもあった。

それにしても、50年ぶりのふるさとであった。
思い切ったタイムスリップ。
自分はまだ元気、ふるさともまだ元気。

あと10年していたら、お墓参りでおしまいだったかも。
そうすれば、このホームページもなかったかも。
逆に10年早くても、やはりそんなものだったかも。