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ふるさと詩歌 ~ ふるさとは 花ぞ昔の

◆紀貫之(古今集、百人一首)
 
 ひとはいさ 心もしらず ふるさとは 花ぞ昔の 香ににほひける

 久しぶりに訪れた里で、家の主人が貫之に、
 「あなたの宿は、ずっとここにございますのに、なぜおいでにならなかったのですか」
 と、皮肉ったので、この歌で答えた。

 「そうおっしゃるけれど、人の心はどうでしょうか。
  変ってしまったかも知れませんね。
  宿の花は、昔のままの香りで咲いていますけれど」

◆我が事
 50年ぶりにふるさとを訪れて、感じたこと:
 人々は優しい心で迎えてくれた
 しかし、我が心にあった「花」は消えていた

 桜並木は空しく消滅、家々の大きな木は切り払われていた。
 菜の花も無く、一面のレンゲも無い。
 時代の流れの中で、それぞれがそれぞれの理由で消えていた。
 
  ◇ ◇ ◇
 
 花はどこへ行った。
 Where have all flowers gone.
 高度経済成長のアダ花に替えられてしまったのか。
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