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古典 ~ ことば(3):機械あれば機心を生ず

◆中国の古典「荘子」に載っているお話
子貢(孔子の弟子)が楚から魯の国へ帰る途中、ある光景に出会った。
一人の農夫が、井戸からかめで水を汲んでは、抱えてきて畑にまいている。
力仕事で、いかにも効率が悪い。

子貢は農夫に語りかけた。
「はねつるべという機械があるよ。 使ったらどうだね。
てこの原理を利用するから、水汲みが楽になり、効率もいい」

農夫が答えた。
「私もはねつるべのことは知っている。
しかしだね、便利な機械を使うと、物事を効率優先に考えるようになる。

効率を優先すると、もっとうまくやろうと考えるようになる。
うまくやろうと考えると、純白な心が失われて、天の道をはずれてしまう。
だから、私は機械などを使いたくないのだよ」

◆原文の書下し文(岩波文庫の荘子・天地篇より)
機械ある者は必ず機事あり。
機事ある者は必ず機心あり。
機心胸中に存すれば、すなわち純白備わらず。

◆2500年前の警句
効率至上の現代社会に、煎じて飲ませたいような警句である。
大量生産大量消費の経済の病根も、「機械あれば機心を生ず」ということである。
古代中国の「知」のレベルは、今よりはるかに高かった!

◆自己流解釈で生かす
文庫本の解釈は何だかよく分からないので、自己流に解釈してみた。
せっかくの警句も、学問的な表現で解釈しては、役に立たずに埋もれてしまう。
「荘子(そうじ)」には、こういう機知に富んだお話が多く載っているので、また紹介したい。