緑が織りなす田んぼ~米作りの眼
6月25日、西名柄の農道でビデオを取っていると
農家の方が通りかかり、声を掛けてきた
『何を撮ってるんだね』
一面の田んぼの中で、ウロウロしてる変な奴
そう思われても仕方ありません
「田んぼがすばらしいから、撮ってます」
やっぱり、不思議そうな顔
「田植え、この緑、稲穂の波、そして稲刈り、と追っていきます」
『それは、なかなかいいとこに眼をつけたね』
『おれも若い頃、カメラで二王子山を撮ったりしたもんだ』
『国道の歩道橋の上がいいスポットだ』
『ところで、田んぼを見て違いのあるのが分かるかね』
さぁーて、と
言われてみると、緑の濃さが違っているようだし
苗の様子も違っているようだけど
『こっちの少し枯れたようなのは、化学肥料の窒素分が切れてきたところ』
『あっちの青々なのは、有機肥料で、まだ窒素分が土に残ってる』
『青々の3枚は、特別栽培米の田んぼだ』
◇ ◇ ◇
実は、帰京後しばらくは、このときの会話は頭の隅に置いたまま
惰性で、<一面の緑の田んぼ>と表現して、記事を書いていた
しかし、ハッと気がついて、ズシリと重さを感じたのです
農家の方は、神経を研ぎ澄ませて、田んぼの、いや一本一本の苗を見ている
近辺の緑と、例年の緑と、昨日の緑と比べる
肥料の効き具合、苗の様子、水、土、天気、etc.を観察する
当たり前のことを見過ごしていた、そんな自分が恥ずかしい
<多彩な緑が織りなす一面の緑>だった
のどかな田園風景と、真剣勝負の米作りとが、共存しているのです
◇ ◇ ◇
『今度、家へ遊びに来なせぇ。すぐ近くだ』
親切におっしゃった言葉が忘れられません
甘い心を引き締めて、米作りについて教えていただこうと思います■