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2007年12月30日

米作りを考える1 ~ ハサ掛け米との再会

◆おいしさのルーツはハサ掛け米
ハサ掛け米に再会できたことは、幸運という外はない。
ハサ掛け仙人への縁をつないでくれた親戚及びそのまた親戚の方々に深く感謝。
ハサ掛け米が我がおいしい米のルーツである。

現実にハサ掛け米に再会できたことは、今後の米作り考の基点になる。
現実にハサ掛け米が生産できる、食べるチャンスがある!!
まだ間に合うことを確認できたのである。

ハサ掛け米は、風前の灯、絶滅の危機にある。
何とか絶やさずに残したい。
この味が日本の米のおいしさのルーツなのだから。

◆現代のおいしい米(コシヒカリ)
魚沼産米は、スーパーで買ったものであるが、確かにとてもおいしい。
ハサ掛け米と同じく、伝統的な米の味だ。(ぷちぷち感)
一般的に生産・販売される米は、いわば現代の味だ。(柔らかいもちもち感)

新発田の農家の自家用米は、中間の味と思う。(ぷちぷち&もちもち)
現代の食事に合わせた味であるが、伝統的な有機肥料栽培だ。
都会の消費者が日常的に食べるには、この味が適していると思う。

一般的な米は、柔らかいもちもち感と述べたが、低価格米は柔らか過ぎる。
個人的な意見では、柔らかな米を食べていると、脳もしまりがなくなる。。
噛みしめて、米を味わうべきである。

◆米を楽しむ米グルメ
心ある消費者には、農家の自家用レベルの米を食べて欲しい。。
そして、時々ハサ掛け米を食べる。
また、別の味のおいしい米を食べてみるのもいい。

同じコシヒカリでも、産地、栽培法、農家によって、味はいろいろだ。
そのことを知れば、味のバリエーションを楽しむことができる。
惣菜に合わせて米を選び、米に合わせて惣菜を選ぶ、となればもう「米グルメ」の境地だ。

◆米グルメ実現のために
とは、いうものの現実には、そうした米は一般には購入できない。
米グルメを実現するには、米作りの多くの問題を克服しなければならない。
できるか。 できると確信するが、もちろん独力では無理だ。

同じ志の同志を募ってプログラムを立ち上げ、農家と協力すれば実現できる。
消費者が待っていてはダメだ。
「おいしい米が食べたい」と断固として立ち上がることだ。

当サイトは、お節介にも無謀にも、その提案をしていこうとしている。
そのための準備として、米作りに関わる問題を多面的に考えていく。
まずは次回は、農業効率化政策を批判的に検討してみたい。

2007年12月21日

お米2007 ~ 食後の感想5

◆作りたい米が作れない生産者
今の米作りは、販売を農協(JA)に依存している。
JAの指定する米を作らなくては売ってもらえない。
一般の農家は、米の流通ルートを持たないので止むを得ない。

流通ルートだけでなく、米の乾燥機を持っていない。
コンバインで収穫した米はJAのカントリー・エレベータで乾燥される。
巨大なカントリー・エレベータは、地区一帯の農家の米を次々と飲み込む。

つまり、多くの農家の米が自動的にブレンドされてしまう。
つまり、作りたい米を作りようがない。
以前はそれで済んでいた。

しかし、米余りや米価低迷でJA依存は壁にぶち当たっている。
しかし、流通ルートはないし、米はカントリー・エレベータで乾燥するしかない。
こうした状況の下で多くの農家は立ちすくんでいる。

◆食べたい米が食べられない消費者
消費者は市販の米を迷いながら、あるいは物足りなさを感じながら選んでいる。
親戚や知り合いの農家がない消費者は、生産者の顔が見えない米を買っている。
食べたい米を探し、続けて食べるにはどうしたらよいのか。。

重要なのは、消費者が十分な『米知識』を持つことである。
『米知識』とは、味とか産地とかだけの知識ではない。
しかし、消費者への『米知識』の情報提供は十分でない。

◆考えたいこと
その1:消費者が食べたいより安全でよりおいしい米が、世の中に確かに存在する。
その2:米には同じコシヒカリでもいろいろな味があり、それぞれを楽しむことができる。
その3:農家との顔の見える交流は、農家も求めている。

その4:農家がJA依存から脱却するカギは、消費者への流通ルートの確保にある。
その5:農家と消費者の直接取引は、農家にとって負担が大きく、仲介機能が必要である。
その6:インターネットはきわめて有用であるが、農家への技術的支援が必要である。

その7:食べたい米は、農家の経営が安定する妥当な価格で購入する。
その8:米作りは国土保全と食料安保に必要不可欠で、消費者が支えなければはならない。
その9:米作りの実態への理解を欠いた効率化政策は、農家・農業を滅亡させる。

(→ 次回からは、「米作りを考える」シリーズを掲載します)

2007年12月20日

お米2007 ~ 食後の感想4

◆食品偽装
最近の食品偽装の問題はひどいものだ。
消費者に分からなければよい、という利益至上主義。
見かけやイメージ、巧みな説明文などに簡単にだまされる消費者。

食品偽装は現在の日本社会の深刻な病いである。
もちろん『米』についても多種多様な偽装がある。
手段は『米のブレンド』が主である。

産地の違う米をブレンド、古米・古々米をブレンド、上質米に下等米をブレンド。
ブレンドを見抜くことは、ほとんど不可能だ。
消費者は何を信じて米を選べばよいのか。

◆顔の見える米
トレーサビリティは、食品の生産履歴の情報を開示するもの。
当HPでは、独自の米のトレーサビリティを実現したいと考えている。
米作り農家の顔が見えれは、安心感や信頼感を持って米を食べることができる。

実際、ハサ掛け米や自家用米は、食べながら生産者の顔が思い浮かんでくる。
笑顔であり、真剣な眼差しであり、黙々と作業する後姿である。
田植え、風にそよぐ稲、稲刈り、ハサ掛けの風景である。

農家の人達も、消費者の顔を見たいと思っている。
自分の米を気に入ってくれたか、直接聞けたら、どれほどうれしいことか。
ほめてもらえば、米作りにいっそう励みがつくのである。

2007年12月13日

お米2007 ~ 食後の感想3

◆米グルメ
米は個性的に作ることができる。
個性的なうまい米には、農家のこだわりと思い入れがある。
それらの中に「自分の米」を見つけることは、大きな楽しみではないだろうか。

これはもう「米グルメ」の世界である。
先の「米は野菜の一種」という割り切りの対極といえる。
飽食の時代に、米はこだわるに値するすばらしい「食べ物」である。

◆グルメ米
隅々まで農家の眼が届くような田んぼの米が、個性的でうまいグルメ米である。
グルメ米は、狭い田んぼで、手間をかけて作られ、面積当たり収量も少ない。
つまり、市場価格で売っても採算はとれない。

だから農家は自家用分を作るだけで、一般消費者の手に渡ることはほとんどない。
あの風味絶佳のハサ掛け米など、あることさえ知らない消費者が多い。
消費者にグルメ米を知ってもらい、米グルメに変身させるのが、米作りの生きるひとつ道だ。

◆米作りの大規模化の行く末
狭い田んぼは非効率のやり玉に挙げられ、大規模化政策で切り捨てられようとしている。
米作りの大規模化では、コストや効率ばかりが議論されている。
グルメ米危うし。

大規模化とは、田んぼを1ヘクタール(1町歩)の大きさに集約し、効率的な米作りを目指す。
一農家が20ヘクタール位の規模であれば、米作経営が成り立つとしている。
しかし、この100m四方の田んぼでは、隅々まではとても眼が及ばない。

その米を消費者は好んで買うだろうか。 味と食感で、低価格の外国産米と勝負できるのか。
多くの消費者にとって、米はそこそこの味で、安ければいいのだ。 
米の消費は増えないし、価格も下がる悪循環。

八郎潟を干拓し、大規模な米作農業を実現した秋田県大潟村。
ここの農家が、現在の米価格では、もう採算がとれないと言う。
その大潟村の農家の規模に近づけようとする農業政策。 あぁ、米作り全体も危うし。(続く)

2007年12月12日

お米2007 ~ 食後の感想2

◆ぷちぷち
米に対する我が思いは、幼少時に食べた「ぷちぷち」の食感にある。
コシヒカリではない、ハサ掛けの米であった。
今時のコシヒカリは、柔らかな粘りのある「もちもち」が特徴だ。

しかし、今回食べたハサ掛け米も、コシヒカリの市販の苗を育てたもの。
同じコシヒカリでも、育て方で相当な違いが出る。
実はその多様性が、案外と一般には理解されていない。

◆メシが主役
我がこだわりの「ぷちぷち」米は、メシであり主役である。
炊き上がりをほぐすとき、ついひと口つまみ食いしてしまう。
納豆、梅干し、しらす、イカ刺し、もろキュウ、シジミのみそ汁などなど。

昔の日本の「おかず」で食べたくなる。 もちろんおにぎりは最高。
メシのうまさが主役なのだ。
ビフテキ、カレー、天ぷら、カニすき、トンカツ、マーボ豆腐などは思い浮かばない。

◆米は野菜の一種
そう言った大学教授がいる。
主役は惣菜で、米もその一種だ。 もはやメシではない。
今時のコシヒカリは、そういう立場にあわせて「もちもち」になっている。

◆米のメシを楽しむ
「ぷちぷち」のハサ掛け米のメシを月に3~4回は食べる生活をしたい。
それをなるべく他の同好の人達にも楽しんでもらいたい。
しかし、そのためには政府の進める農政改革とは正反対の米作りが必要なのである。(続く)

2007年12月10日

お米2007 ~ 食後の感想

ここのところ1ヶ月ほどで、4種類のお米を食べてみた。
それぞれの味の特徴を掴むのは、かなりの作業であった。
最低で2カップ(2合)を炊くが、炊飯器は1台だし、食べ切るのに1人で2日かかる。

水加減も微妙だし、自家用米は水分が多いため浸け置き時間を試行錯誤した。
それぞれを味わいながら、相互の違いも判断するため、4種類を炊いては比べていった。
4種類を3回位ずつ炊いて2日で食べ終えると、4×3×2=24日かかることになる。

その間に、京都・大阪に行ったりしので、結局約1ヶ月である。
すでに、個別のコメント文を4回報告した。
これから、それらを個人的独断と好みで総括していきたい。

 ◇ ◇ ◇

◆4種のお米を食べてみた
①ハサ掛け米(新発田市)
②魚沼産コシヒカリ
③農家の自家用米(新発田市)
④特別栽培米(新潟市)

◆一応の総括
まず、それぞれには違いがある。(当り前といえば当り前)
しかし、どれもコシヒカリであり、食べた感じが違うというところ。(頼りない!)
4種とも、甘味があり、通常の販売価格のコシヒカリより明らかにうまい。

ハサ掛け米は、香りがあって、ぷちぷちで粘りがある。味は最高。
魚沼産は、ぷちぷちで粘りがある。味は十分良い。
自家用米は、有機肥料のためか優しい味で、柔らかなぷちぷち感はもちもち感に通じる。

特別栽培米は、前3者にやや及ばないが、味は合格点。
ハサ掛け米は山の清水で、魚沼産と自家用米は川の中上流で作られる。
今回の特別栽培米は下流の産なので、『水』が差の要因かもしれない。(続く)

2007年12月08日

お米2007~新潟産特別栽培米を食す

◆市販の新潟産「特別栽培米」
スーパーで新潟産「特別栽培米」2Kgを買ってきた。
もちろんコシヒカリで、店頭価格は 1,280円也。
ふつうの新潟産コシヒカリより、約2割高い。

◆しっかりした味
新米なので、2カップの米を標準の8割の水加減で炊いた。
「ぷちぷち感」も甘味もあり、しっかりした味でおいしさ合格。
米の質は前3種にやや及ばない。

◆特別栽培米とは
化学合成農薬と化学肥料を共に、慣行栽培の50%以下に減らす栽培方法を『特別栽培』という。
農林水産省のガイドラインに沿って、農産物ごとに基準が定められている。
基準がきびしすぎて普及しない『有機栽培』に比べ、店頭にも並ぶ。

◆お米の味レベル
この「特別栽培米」が、おいしい米の合格ラインと思う。
実は、「新潟産コシヒカリ100%」を、昨年も今年も買って食べてみた。
その結果、「評価に値しない味」であった。

「新潟産コシヒカリ100%」といえば、うまい米の代名詞である。
しかし、価格を抑えれば、品質の劣る米をブレンドする。
味が落ちて、米全体のイメージが低下してしまう。

消費者は安さにひかれて、それなりの味の米を食べ、やがて米から離れていく。
せめて、この「特別栽培米」レベルの味の米を食べさせなくてはならない。
個人の好みもあるが、現在流通している大半の米が、合格味といえないように思う。

◆これから
米にもグルメ志向が必要であり、それに値する米はある。
ただし、そういう米を生産・流通させるには、既存の農業構造では不可能に近いことが分かった。
解決法は、消費者と米作農家が相互理解を深め、協力することある。(次回以降に続く)

2007年12月01日

お米2007 ~ 農家の自家用コシヒカリを食す

◆なぜ自家用か
農家はなぜ自家用のお米を作るのか。
より安全でよりおいしい米を食べたいからである。
JAの基準で作り、JAを通して販売される米とは異なる米を作っている。

◆有機肥料で作る
自家用では有機肥料を使う。
田んぼの土が劣化しないことが最大の理由。
米が千年以上も連作できていのは、有機栽培によるところが大きい。

化学肥料は、品質が一定で、より低価格で、使いやすい。
しかし、化学肥料ではどうしても土が劣化する。
環境にも優しい。

◆炊き方
新米は水分が多く含まれているので、水加減が難しく、数回の試行錯誤。。
今回のお米は、炊飯器の標準の8割の水で、炊き上がりまでを2時間にセット。
わが好みのご飯が炊けるようになった。

◆ぷちぷち感と甘味
このお米の味は優しく、柔らかな「ぷちぷち感」がある。
味の優しさは有機肥料の特徴のようで、野菜でも同じであった。
噛むと甘味があって、ご飯のうま味を実感できるのがうれしい。

◆市場には出て来ない
このお米を食べるには、農家から余剰分を直接譲っていただくしかない。
このことを掘り下げると、米作りの現状と問題点が浮き彫りになってくる。
味を楽しみながらも、苦い思いがよぎる今日この頃の心境であります。