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2009年01月10日

米仙人~2008田植えの話

◆米仙人を訪問(2008/12/22)
一昨年の11月以来の訪問であった。
人里から少し離れた一軒家で、米仙人の話を伺った。
ストーブに薪をくべながら語ってくれたエピソード。

◆田植え機が故障
昨年の田植えの時、田植え機が故障していて動かなかった。
業者に修理を依頼したら、新品を買う方がよいと勧められた。
しかし、小さな田んぼで、今さら新品を買う気もしない。どうするか。

◆手で植える
手伝ってくれている娘さんが言った。
「手で植えよう!」
「そうするか」

そこで手植えに必要な『田植え枠』を納屋から引っ張り出した。
これは、細長い八角柱の大きな木枠で、田んぼに転がして、土に方眼の筋目を付ける。
その方眼の交点に苗を植えていく。

父娘の二人で、二日かかって田植えを終えた。
娘さんは初めてなので、仙人が教えながら作業した。
いやはや。

◆米がうまくなった!
後は順調にいって、刈取った稲は『ハサ掛け』にした。
その米は一段とうまかったそうだ。
手植えのお陰だ。

手で植えると、株の間隔が機械より広くなる。
一株当たりの苗数も機械より少ない。
結果として、稲は伸び伸びと育ち、大粒に実ったのである。

◆世俗離れ
田植え機が壊れたから手で植えるなどという考えは、普通ではない。
それをやってのけて、おいしい米が収穫できたとニコニコ。
親子ともども俗世間を離れた仙人であり、感激しきりである。

◆効率 vs 自然
このエピソードには、続編がある。
話を訊いた親戚の奥さんが、「私も手伝ってあげられたのに」
若い頃は手植えで田植えをやっていたそうだ。

全て金額に換算して、効率優先のすさんだ俗世間。
その一隅に、こうした自然な心意気の人々が確かに存在している。
日本はまだまだ見捨てたもんじゃありません。

◆おいしい米
ところで、このエピソードは「おいしい米」探しにも一石を投じる。
現在では忘れられてしまった米の味を遺しておいてくれるのである。
探し続けている50年前の米の味に、また一歩近づいた。

ただし、今回は時期を遅らせたため、仙人の米は分けてもらえないかも。
お願いして、回答待ちの状態である。
もちろん今年の秋の米はぜひ分けていただき、賞味したいと思っている。