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米仙人の手植え2009(下)

◆振り返って
今回の米仙人の手植えを拝見できたことは、貴重な体験であった。
仙人と娘さんのご好意の賜である。
親戚夫妻にいただいたご協力の賜でもある。

驚異と感動のこの体験は、米作りに対する畏敬の念を深く我が胸に刻み込んだ。
米作りには二千年に及ぶ歴史がある。
そこから培われた日本人の感性と理性は、ますます大切にしなければならないと思う。

◆仙人は
ところで仙人は、おいくつか?
大正11年(1921年)生まれとおっしゃるから、今年でなんと『87歳』!
ビデオでご覧のように、かくしゃくと働く姿は、まさに仙人、超人、あるいはお化け? m(_ _)m

◆田んぼは
元は新発田の街に住み、米作りをしていた。
昭和30年代に国道のバイパス工事にかかって、田んぼを手放した。
ちょうど当時は、田んぼに大量の農薬が使われ始めていた。

農薬を使わない米作りをしようと、現在の土地を求め、ブルドーザで斜面を田んぼにした。
山の清水を一番上に掘った池に貯め、そこから田んぼに順に落としていく。
池は、冷たい清水の温度を調節する働きがある。

また、池には鯉を飼っていて、鯉が元気なら水も安全ということになっている。
横手の草地には、ワラビが芽を出す。
水がきれいで豊富だから、季節にはホタルや赤トンボが乱れ飛ぶ。

サルも出没するが、忠犬クロがいるので安心だ。
クロは子犬のときから、田んぼの周囲を散歩させていた。
田んぼは自分の領分だから、サルが近付く気配で騒ぎ出し、鎖を放つと猛然と追い払う。

◆余談:薪ストーブ
仙人が暖をとるのは薪ストーブ。 なたで薪を細かく割りながらストーブにくべる。
奥の部屋に石油ストーブが置いてあるが、普段は使わないようだ。
薪は山の木であるから、100%のエコだ。

◆日本人の感性と理性は
手植えの作業を見ていると、日本人の感性と理性の拠り所が彷彿と浮かび上がってくる。
優れた独自の文化も、自然との共生も、匠の技の物作りも、勤勉実直な米作りからだ。
加えて、手植えには、社会が取り戻すべきミニ・コミュニティの実態がある。

作業も、その目的を理解し、技と心を込めて実行することが求められる。
一見のどかな田植え風景の奥に、きびしい真剣勝負の世界がある。
それをある程度まで感じ取れたことは、望外の幸せであった。

◆今時の田植え体験
金融破綻後の経済不況で、安直な農業回帰の傾向が見られる。
今年の田植え期には、多くの体験イベントが、TVでも放映された。
子供達やタレントが楽しそうに田植えをしている風景である。

なんでも参加・体験が世の風潮であるが、素人のお遊びに終わる危険性も感じる。
お膳立てされた舞台で演じる「ごっこ遊び」にすぎないかも。
TV映像には、かなりの「やらせ」も感じられるが、それはそれ。

◆プロの作業を見て学ぶ
先の仙人の田んぼの手植えのような、プロの作業風景を、まずじっくりと観察することだ。
子供達にはよい教材だが、経済効率を測るしか能のない経済専門家は、どうだろう。
たぶん、あまりの非効率にあくびを連発し、お得意の机上の空論に戻りたがるに違いない。

 ◇ ◇ ◇

実は、金曜(7/24)の夜、思いもかけず、仙人の「2008ハサ掛け米」が届いた。
玄米なので、昨日、精米機を買ってきた。
味わいの報告をお楽しみに。■