実りの秋2009:茶飲み話
◆農家での茶飲み話
9月下旬、稲刈りが雨で中止になった日、新発田・西名柄のHさん宅。
雑談をしていると、庭先に近所の農家の人が次々と顔を出す。
「上がってお茶飲んで行けや」とHさんが声をかける。
で、お昼に失礼するまでに、四人の方が入れ替わりで立ち寄った。
話の半分位は、ことばも経緯も分からなかったが、いくつかのことに気がついた。
農家の人達の茶飲み話を伺う貴重な時間の中に、農業の抱える問題が垣間見えた。
◆味が話題にならない
刈入れの進み具合、実り具合、大規模化の問題、土建業者の農業参入、などなど。
しかし、「米の味」は話題に上らなかった!
さもありなん、ではある。
多くの農家は、JAのカントリーエレベータに米の乾燥と籾摺りを依存している。
JAの指定する品種、肥料、農薬を使用して米を作る。販売もJA依存だ。
JAの受入れ検査基準をパスすれば、収量×基準米価の売上げになる。
カントリーエレベータでは、各農家の米が混合されてしまう。
農家は、自らの味や品質ではなく、JAの検査基準に合わせて米を作る。
その米が「新潟コシヒカリ」として、消費者に販売されている。
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例の米仙人は、味を求めてハサ掛けをしている。
また、十数haの米作りをしている農家では、食味計で高評価を得たと自慢していた。
自前で米の乾燥と籾摺りを行い、直販をしている農家である。
◆農家の仕事を奪う機械化
「高い機械を使って、作業(田植え、稲刈り)はあっという間に終わってしまう。
あとはヒマでやることがない」とポツリ。
機械が農家の仕事(人が営む)を奪っている!
人の重要な生き甲斐は、仕事をすることで、そこに社会との接点がある。
農家にとっては、米を作ることが生き甲斐だ。
機械化、大規模化は、中小規模の農家の仕事を奪い、生き甲斐を消滅させている。
高齢化と後継者難、経営効率の低さを解決しようと、農地の集約が推進されている。
が、官僚・学者の机上の計算では、多くの農家の生き甲斐など全く無視されている。
経済の論理で社会を切り刻む政策は、早急に改めるべき時期にきている。
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