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米作りの「体験」~イベントへの疑問

◆米作りの「体験」イベント
 米作り体験ということで、「田植え」や「稲刈り」のイベントが多く行われている。
 「田植え」では手で植え、「稲刈り」では鎌で刈り、天日干しにする。
 いずれも、現代の機械式農法ではなく、伝統的農法を採用している。

 米作りの「体験」とは、土と米に直接接することだ、と認識されているからだ。
 機械式農法では「機械の操作の体験」しかできない、といえる。
 しかし、その伝統的農法の「田植え」と「稲刈り」の「体験」にも、落し穴がある。

◆イベントの裏のエピソード
 たまたま、新発田の喫茶店で相席した方からこんなエピソードを聞いた。

 ある小学校で休耕田を借りて、生徒に「田植え」と「稲刈り」の体験授業をしている。
 「田植え」と「稲刈り」はいいのだが、その間の稲の管理は父兄が交代で担当する。
 ところが、どの父兄も一年で辞めてしまい、引き受け手がなく困っている。

 なぜか?
 ひとつは、田んぼの管理がきわめて大変な作業であることだ。
 担当父兄の仕事や生活に重い負担を強いられる。
 
 ふたつには、外野から、遠慮ない批判が浴びせられること。
 水管理、追肥、草取り、病虫害防除などが、ダメとか、ああしろ、こうしろとか。
 もう、やってられないよ!

◆イベントによる「体験」の落し穴
 米作りは、88の手間がかかるという。
 その中の「田植え」と「稲刈り」だけをピックアップする。
 それが、ほとんどの「体験」イベントである。

 しかも あらかじめいろいろとお膳立てされた「体験」だ。
 また、一人が植えるのはせいぜい1列か数列。
 実際のの田植えは、大きな田んぼで朝から晩まで植え続ける。

 米作りには、エピソードでも触れたように、たいへんな作業が隠されている。
 それが「体験」されることはない。
 イベントは、「田植え」ごっこ、「稲刈り」ごっこに過ぎない。

 特に、子どもには、本物の米作りの全ての作業を「体験」させるべきであろう。