おひつ:使用体験 ~ 和の食文化に触れる
◆おひつの中は
曲げわっぱ:おひつにハサ掛け米のご飯を入れて、2日目。
全体はしっとりとして、飯粒は互いにくっつきあっている。
パラパラ状態ではない。
乾いた指で触れたら、飯粒が粘りついて、簡単には取れない。
こんな粘りは初めてだ。
水分を含んだおひつにはくっついてはいない。
◆米の素性が現れる
ハサ掛け米は、「米仙人」が山の清水で作る。
肥料は稲わらをベースにした自家製の堆肥。
無農薬(除草剤は使用)で、ハサ掛けでじっくり天日干し。
炊飯1日目はもちろん風味絶佳である。
炊飯器内においた場合の2日目もおいしかった。
が、おひつの場合の2日目は、新たな旨味が醸し出されるように感じた。
ハサ掛け米はコシヒカリの中のコシヒカリだから、粘りが身上だ。
おひつの中でその素性が明らかになったのだと思う。
農家の自家用米もやはり軽くネバネバになった。
◆和の食文化
子供の頃の米は、米仙人のハサ掛け米のように作られていた、(水は川から引いた)
品種はコシヒカリでなかったが、お釜で炊いて(普通の)おひつに移していた。
だからご飯がご飯としておいしかった。
その米とおひつを得て、懐かしの味を再現できたことがうれしい。
この味は、現代の機械依存、効率優先、石油浪費の文明の下で失われてしまった。
21世紀の社会は、自然と共生する食の文化への回帰を強く志向したいものである。
【ここで一首】
<木の心 米の心を 包むおひつ 伝統の技 今に楽しむ>
(続く)■