打ち豆
◆打ち豆の味噌汁
食器棚の奥から「打ち豆」の袋が出てきた。
賞味期限は、約2年前。
でも、そう悪くなるものでもないからと、味噌汁の具にする。
適量を水で戻して、軽くゆすぎ、鍋を火にかける。
軽く沸騰すると、アクがかなり浮いてくるので、すくい取る。
ダイコンを入れて、後はダシと味噌でできあがり。
味は上々、打ち豆は歯ごたえもよし、大豆の味もバッチリ。
この打ち豆は、栃木県のメーカーが国産の青大豆で作った。
安心で、純粋で、味がよくて、食物繊維もたんぱく質も十分な優良食品だ。
◆打ち豆はふるさとの味
打ち豆を食べると、いつも思い出す光景と音がある。
子供の時、親戚の婆ちゃ(ばばちゃ=叔母)が、孫をあやしながら打ち豆を作っていた。
石臼の上に豆を一粒置き、木づちでピシリとつぶす。
秋の陽だまりに拡げたムシロの上で、一粒一粒をていねいに力強く打っていく。
側にしゃがんで眺めていたこの光景と音は、古きよき時代の田舎の原風景だ。
あの婆ちゃの打ち豆はもうない。
機械で作る今の打ち豆もおいしいのだけれど。
【ここで一首】
打ち豆を 食(は)めば懐かし 秋の陽に 石臼でピシリ 婆ちゃの木づち
■