飲み処:奈良「京富」
◆隠れ家のような飲み処
11/29(土)の夜9時頃、もちいどの通りから路地に入る。
ポツポツと町家が残っている細道を歩く。。
と、ひっそりとした店構えの「京富」に気を惹かれた。
小木戸の入口。
小さなメニューに「焼酎 500円」などと書いてある。
格子戸の窓から灯りが漏れて、軽い音楽。お客さんの声もする。
「よし」と木戸を開ける。背をかがめてお店に入る。
先客は男性二人でおなじみさん。自分は右手のテーブルに座る。
エネルギッシュな感じのママさんに、芋焼酎のお湯割りを注文。
◆店内の様子
4人掛けの木製テーブルが二つ、格子を背にした二人掛けベンチ。
先客はこのベンチに、酒・小皿を挟んで、並んでいる。
ござ敷きで小座布団、それぞれに脇息が置いてある。
音楽は、懐かしのジャズ・ボーカルのCD。
奥の壁にエキゾチックな大きな板がかかっている。
(アジアのどっかで、牛に穀物を粉に挽かせる道具らしい)
入口は、町家の商家から譲り受けた扉の、閉店後に出入りする小木戸部分を利用したもの。
トイレへ通じるドアは、元郵便局から譲り受けたものをはめ込んだ。
このお店は、出入りは小木戸、トイレへは小ドアをくぐる。『隠れ家』的仕掛け。
和がベースでありながら、隅々までママさんのこだわりが息づいている。
それでいて、おもてなしの心が優しく伝わってくる。
初めてなのに、すぐにその雰囲気に溶け込んでしまった。
◆花街の置屋であった
「京富」のある町名は、元林院(がんりいん)町。
この一帯は、もと花街で、「京富」は置屋であった。
その建物を玄関部分だけを少し改装して、お店にした。
◆飲み物・食べ物
焼酎は陶器のグラス。
小皿のつまみは、焼いたギンナン。むいて塩を付ける。
一人で静かに焼酎を楽しむ。
そこへ、お煎餅が出てきた。
ママの母上(90歳)が、今、火鉢で手焼きされたという。
炭にはこだわり、京都から取り寄せたものを浸かっている。
アツアツの焼き立てをいただく。
香ばしく軽くパリッとしている。
年季の入ったお煎餅の貴重な風味を味わった。
◆トイレ
トイレは元郵便局の木製ドアの向こうの<別世界>にある。
しかし、ココではその紹介を控える。
直接お店を訪れて、感動していただきたいからである。
◆帰りにゴツン
10:30 ごちそうさま。焼酎お代り込みのお会計は、1,700円。
出がけに、小木戸でおでこをゴツン!
あぁ、早くこの『隠れ家』のなじみにならなくては。
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