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さくら餅と道明寺:神楽坂「五十鈴」

◆「五十鈴」
2月7日(土)、神楽坂の和菓子の「五十鈴」前。
ここは、いつも季節の和菓子名を大きく張り出している。
『さくら餅』、『道明寺』、『うぐいす餅』に惹かれて店内へ。

二個ずつの注文で、お会計は、1,386円也。
実は、『道明寺』を買ったのは初めて。
(食べたことはあるみたい)

◆『さくら餅』と『道明寺』
帰宅して食べながら、ふと考えた。
『道明寺』って何だ?
桜の葉にくるんであって、こし餡で、『さくら餅』に似ているけど。


さくら餅 道明寺



Webで調べて、意外なことが分かった。
(知らないというのもいいことで、新しい知識に感激した)
『道明寺』とは、関西の『さくら餅』だった!!!

◆関東系の『さくら餅』
江戸時代に八代将軍吉宗が隅田川堤に桜を植えさせた。
向島・長命(ちょうめい)寺の門番が、この桜の葉の塩漬けで餅を包み売り出した。
これが『さくら餅』の由来と伝えられている。

小麦粉や白玉粉を使った生地を薄く焼く。
この皮で、餡を半折りに包み、塩漬けの桜の葉でくるむ。
これが関東系の『さくら餅』。

◆関西系の『道明寺』
大阪に『道明寺』というお寺がある。
菅原道真ゆかりの尼寺で、本尊は国宝・十一面観音像。
道真は、左遷されて九州・大宰府へ流される途中、伯母の覚寿尼をここに訪ねた。

道真の出立後、尼は毎朝仏前に飯を供えて、その無事を祈った。
下げた飯を人々に分け与えたところ、病が治ったなどと評判になった。
そこで寺では、もち米を一度蒸して、乾燥させ、より多くの人々に与えるようにした。

やがて、これがブランド化して『道明寺』と称されるようになった。
『道明寺』を粗く砕いた粉を『道明寺』粉という。
この粉で粒々の皮を作り、餡の周りを包み、塩漬けの桜の葉でくるむと『道明寺』。

◆桜の葉っぱ
『さくら餅』をくるんでいる桜の葉は、現在は「オオシマザクラ」の葉っぱ。
静岡県の伊豆・松崎の特産品になっている。
「オオシマザクラ」の葉は、香りがよく、やわらかくて美味。

しかし、葉を食べない人もいるようだ。
かつて『道明寺』は、厚手の桜や椿の葉が使われていたので、食べなかったという。
その名残りか、それともビニール製の葉が使われることもあるせいか。

◆道真が道明寺に遺した歌
  <鳴けばこそ 別れも憂けれ 鳥の音の なからん里の あかつきもかな>