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食パンの耳~西荻窪「アンセン」

◆食パンの『耳』

耳は食パンの端っこ。
ふつうは邪魔もので、時には捨ててしまう。
ところが、耳が主役の食パンがある。

◆『耳』がおいしい
「アンセン」の食パンは『耳』がおいしい。
香ばしくてとてもおいしい。周りの縁ももちろんおいしい。
新しいときはそのままで、あとからはトーストで。

だからこのお店で食パンを買う人は、みんな『耳』を欲しがる。
写真のように『耳』だけ切ったり、最後の一枚にくっつけたりしてもらう。
どちらもそれぞれに味わいがある。

◆おいしい秘密
お店のパン焼き機は、約40年前のドイツ製とのこと。
もう製造は中止になった機種で、だましだまし使っているそうだ。
先き頃、メーカーの人が使用状況を見学にきたほどの歴史的逸品だ。

たぶん、昔ながらのパンを、じっくりと焼き上げる素朴な機械なのだろう。
今時の効率がよく、操作が楽で、失敗のない機械とは別の世界の機械だ。
だから『耳』や縁がこんがりとしたパンが焼ける。

◆全部おいしい
生地を熟成させ、旧式の機械を技で操作する。
そんな街のパン屋さんを近くに見つけたのはうれしいかぎりだ。
願わくは、あのパン焼き機がもうしばらくは健在でありますように。