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新発田~天然ナメコと野生の鴨肉

◆親戚の奥さんの手料理
新発田へ行くと、いつも〆切の親戚宅へ伺う。
〆切は、市街から車で12分ほどの集落。
ここでのおもてなしは、奥さんの手料理。

今回は、特別なふたつの料理をいただいた。
<天然なめこのおろし和え>と<野生の鴨肉の吸い物>
どちらも物語つきの逸品である。

◆天然なめこのおろし和え
天然なめこは、かなり遠くの山で、奥さんが採ってきたもの。
山の奥の方の楢(なら)の木の幹に自生する。
幹の周りにびっしりと生えているそうだ。

木の皮に熊の爪あとが残っていたという。
そんな山中をめざして、知合いと連れ立って、未明に車で出かける。
とてもエネルギッシュな奥さんである。

 ◇ ◇ ◇

この天然なめこは、市販品と異なり、笠が開いている。
ちょうど平茸のような姿・形で、直径4センチ位のもある。
色は、いわば、なめこ色である。

おろし和えで食べると、ツルツルとして冷たく爽やかだ。
ツルリツルリ、ツルリツルリだ。
あぁ、もう秋も終わりだなぁ。

◆野生の鴨肉の吸い物
野生の鴨は、近所のMさんの獲物である。
Mさんは、大規模農業で、約20ヘクタールの米作りをしている。。
当初、親戚の紹介で田植や稲刈りを撮影させていただいたご縁がある。

そのMさんは、猟師でもあり、冬場には北海道へ鹿や熊を撃ちにいく。
ただし、今回の鴨は猟銃で撃ったものではない。
なんと、近所の田んぼに仕掛けた網で捕獲したものなのだ。

 ◇ ◇ ◇

冬、月夜の晩か早朝未明か、水を張った田んぼにおとりの鴨を放しておく。
餌を探して飛んでくる野生の鴨の群れが、おとりにつられて、田んぼに降りてくる。
テントに隠れていたMさんが、頃合を計って仕掛けの網をパッとかぶせる。

一網打尽の鴨は、弾の破片が入っていないので、料亭などに評判が高いという。
Mさんと夫婦づきあいの親戚宅に、おすそ分けの鴨が丸ごとで届けられる。
奥さんは、鶏と同じ要領で、鴨の毛をむしり、みごとにさばくのだそうだ。

 ◇ ◇ ◇

野鴨の肉は、固くて臭みも強いので、じっくりと煮込んで調理する。
吸い物には鴨の味が沁みだし、肉はしまりがあってシコシコ。
スースー、シコシコ、スースー、シコシコ。もう、冬だなぁ。