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彦根~居酒屋『をかべ』

◆旅先の居酒屋
旅先で、<飲み屋街のよい居酒屋>を見つければ、その旅は安心だ。
たいていは2泊3日で滞在するから、居酒屋には2回は立ち寄る。
気さくなお店に出会うと、そので過ごす夜が楽しくなる。

 ・飲み屋街にあるこじんまりした庶民的な居酒屋
 ・会話を楽しめるマスタや地元のお客さん
 ・ご飯で夕食がとれること

などが、<飲み屋街のよい居酒屋>の条件だ。
酒を飲むだけでなく、しっかりと夕食がとれて、土地の人と言葉を交わす。
こういう店は、料理のメニューも気が利いていて、しかもおいしい。

彦根では、飲み屋街を<袋町>といい、旧城下町の西南部にある。
もともとは足軽の居住地で、整然とした縦横の路地に小ぶりな飲食店が並ぶ。
にぎやかなチェーン店などはなく、古民家も点在する静かな街だ。

◆居酒屋『をかべ』
『をかべ』は袋町にちょっと入った所にあり、わが理想の<飲み屋街のよい居酒屋>である。
他にも似た感じの居酒屋2軒を品定めしたが、<おでん>と染め抜いた赤提灯が気に入った。
少々冷え込んだ夜には、暖かい<おでん>がたまらない。

店は、細長い>カウンタで、まだ他の客がいなかったので真ん中あたりに座る。
生ビールにして、さっそく<おでん>を注文。
マスタが鍋からみつくろって皿に入れる。

「昆布を入れて~。昆布巻きをね」
「あ~、東京の人は昆布だね。でも関西では昆布はダシ。昆布巻きはないねぇ」

「じゃぁ、彦根らしいのを頼みます。何があるのかな?」
「スジだね。牛のスジ」

「それがいい。あとはおまかせ」
「はい、お待たせ」

と、いうようなことで、牛スジのおでん。
長いスジを折りながら串に刺してある。
コリッとして、プルッとして、良く煮込んである。

牛スジに気をとられて、ほかに何が入っていたか忘れた。
マスタと手伝いの女性(彦根美人風)と話し始めたら、お客さんが一人入ってきた。
久しぶりのおなじみさんで、やはり<おでん>を頼んだ。

「寒くなると、<おでん>がいいですねぇ」と話の輪が広がる。
この方は、大阪方面から彦根に来て、もう十数年という。
住みついた彦根の魅力はなにか。聞いてみればよかった。後悔しきり。

1日目の土曜の夜の<一期一会>。
サンマの開きを焼いてもらい、ご飯を一杯、生ビール追加。
ほどほどに過ごした2時間。お愛想は、2,300円也。安~い。