『でんない柿』を求めて
◆思い出の「柿」
先月末、「柿」を求めて新発田へ出かけた。
幼き日の思い出の「柿」が食べ頃になったのだ。
約60年ぶりの再会を期待して。
◇ ◇ ◇
『蔵光でんない』という柿。
新発田郊外の蔵光地区で多く栽培されていた。
甘柿で、やや細長い四角柱で、先が尖っている。
父の実家の庭で、この「柿」を叔父に採ってもらった。
かぶりつくと、とてもジューシーで甘く、ゴマ(褐色の斑点)がある。
この味と食感を、ずっと忘れられないでいた。
『蔵光でんない』は現在、ほとんど残っていない。
それが、ちょっとしたきっかけで、近くのお宅の庭にあると分った。
家の増築の際に切り倒すところを、移植で辛くも生き残ったという。
その思い出の「柿」をいただきに伺った。
既に選別したものを用意して待っていてくれた。
そこから色合い・形のよいものを50個ほどいただいて帰った。
実は、その場でかじって渋いのに当たるとまずいと思い、ホテルで試食。
それは固くて甘味も無くて、期待がはずれてガックリ。
地元の人に話したら、日にちを置けば甘くなるといわれて、帰宅後に再賞味した。
◆思い出の味
甘柿なのにジューシーで、とても甘~い。
形もなかなか品格を感じる。
コレです、コレ、コレでした!!!
実際は、枝を剪定し摘果などして木の手入れをすれば、より大きく甘くなるという。
そんな『蔵光でんない』が地元でも忘れられ、滅びようとしている。
なんとかせねば‥‥。
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