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『でんない柿』のつれづれ

◆『でんない柿』は<不完全甘柿>
ネットで調べたら、『でんない柿』は<不完全甘柿>であることが分った。
京都府立大学農学部附属農場の果樹保存品種リストに掲載されている。
『でんない』=『伝内』で、新潟産ということである。

<不完全甘柿>は、実に種子が4~5個以上入ると渋が抜ける。
渋が抜けた実では、渋味成分のタンニンが黒く固まって「ゴマ」になる。
糖度も高くなり、味も良くなる。

一方、種子が3個以下だと渋が抜けなかったり、部分的に渋かったりする。
甘くなった実と渋い実が混在するので、<不完全甘柿>というわけである。
『でんない柿』では、オレンジ色が濃いと甘く、渋いのは日が経つと甘くなる。

◆『でんない柿』は<一代雑種>
『でんない柿』は、接ぎ木で増やす<一代雑種>で、桜の「ソメイヨシノ」と同じ。
<一代雑種>だから種を採って育てるわけにはいかない。
良い実のなる『でんない柿』の枝を渋柿の木に接ぐと良いそうだ。

 ◇ ◇ ◇

◆甘柿と渋柿
日本には、約1,000種の柿があるという。
そのうち甘柿はわずか十数種で、ほとんどが渋柿。
ネットで調べると、柿は、つぎの4種に分類される:

-- ◇完全甘柿(PCNA)
-- ◇不完全甘柿(PVNA)
-- ◇不完全渋柿(PVA)
-- ◇完全渋柿(PCA)

-- ◇完全甘柿
種子の有無にかかわらず熟し、甘くなる。
富有柿、次郎柿、花御所柿など。
富有柿は最も生産量が多く、柿といえばコレ、といわれる「柿の王様」。

-- ◇不完全甘柿
種子の数が多い実は甘く、種子の数が少ない実は渋くなる。
西村早生、禅寺丸、伝内(でんない)など。

-- ◇不完全渋柿
渋柿ではあるが、種子が入るとその周囲にゴマができ、その部分が甘くなる。
平核無(ひらたねなし)、筆柿、市田柿。
平核無は、八珍、庄内柿、おけさ柿などの別名を持つ「渋柿の王様」。生産量も多い。

-- ◇完全渋柿
種子の有無にかかわらず、常に渋いもの。
蜂屋、西条など。

 ◇ ◇ ◇

柿は、なかなかに奥の深い果物である。