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F1野菜:市場経済の申し子

◆F1野菜は市場経済の申し子
F1野菜は、市場を席巻している。
八百屋さんで<在来種(固定種)>の野菜を買うことは難しくなった。
<在来種(固定種)>は、青果市場が受け付けなくなっているからだ。

F1野菜は市場経済の申し子である。
大量生産・大量消費の社会における適者生存の好例だ。
F1を止めるには、現代の社会をひっくり返す必要がある。


◆F1野菜は八方美人
F1野菜は、これに係わる多くの人達に歓迎される。
種苗会社も、栽培農家も、流通・小売業者も、食品・外食・惣菜・弁当業者も大歓迎だ。
食の安全に敏感なはずの消費者も、知らず知らずに、その普及に大きく加担している。

◇種苗会社はウハウハ
F1は種苗会社にとって、きわめておいしい儲けの種だ。
農家はF1からは種を採取できないから、また種を買わなければならない。
評価の高いF1を揃えれば、種苗会社はウハウハだ。

◇栽培農家はラクラク
農家にとってF!は、ラクラクでありがたい存在だ。

-- ・生育期間が<在来種(固定種)>よりかなり短い
-- ・同時に蒔くと同時に育つので、同時にまとめて収穫できる
-- ・大きさや形が揃っているので、選別が楽になる
-- ・適度な硬さがあるので傷ついたり折れたりしにくい
-- ・日持ちするので、収穫後の保管が容易になる

◇流通・小売業者はスイスイ
流通・小売にとって、F1はスイスイととても扱いやすい。
日持ちして、形傷みもしないので運搬・保管が容易。
同じ形質なので、パックにして均一価格で陳列でき、レフもスイスイ。

◇食品・外食・惣菜・弁当業者はホクホク
F1の種で契約栽培させれば、安定品質の野菜を低コストで調達できてホクホクだ。
F1は、均一の大きさで均質なため、大量の調理に便利である。
味も淡泊で個性がないから、自前の味付けが自由にできる。

◇消費者はウマウマ
F1は店頭で選ぶのに鑑別力はいらないし、形が整っているので調理が楽。
日持ちがするので、保存が効く。
味が淡泊なので、サラダやスープやジュースなどの食生活にはウマウマだ。


◆八方ふさがり
かくして、F1は食の世界を制覇した。
<雄性不稔>の<ミトコンドリア>を、毎日々々、食べ続ける野菜生活。
東京では、いかにせよ、もうF1を逃れる術(すべ)はないようだ。