食品汚染:米 トランス脂肪酸禁止へ
◆「トランス脂肪酸」の使用を禁止へ
17日(水)、食品添加物に関する報道があった。
◇NHKオンライン 6月17日 10時42分
要旨:
・トランス脂肪酸はマーガリンなど多くの食品に使用されている
・とりすぎると心筋梗塞などのリスクを高める
・米食品医薬品局は、3年後までに加工食品などでの使用を全面的に禁止する
・日本では、食品に含まれる量の表示の義務などはない
NHK原文転載(一部略):
マーガリンなどに含まれ、とりすぎると心筋梗塞などのリスクを高めるとされる
「トランス脂肪酸」について、アメリカのFDA=食品医薬品局は3年後までに加
工食品などでの使用を全面的に禁止すると発表しました。
トランス脂肪酸はマーガリンや揚げ物などに使われる油に比較的多く含まれる脂
肪分で、とりすぎると心筋梗塞や動脈硬化のリスクを高めると指摘されています。
このためアメリカでは、食品に含まれるトランス脂肪酸の量の表示を義務づける
などして、1人当たりの摂取量は大きく減ってきていますが、冷凍ピザや電子レ
ンジで調理するポップコーンなどの加工食品にはまだ多く使われています。
(中略)
日本では今のところ「通常の食生活では健康への影響は小さい」として、食品に
含まれる量の表示の義務などはありません。
上記の記事は簡単すぎるので、少し詳しく調べてみた。
すると、「トランス脂肪酸」はきわめて広く使用されていることが分かった。
今のところ、日本人の平均的な食生活では問題はなさそうだが、注視は必要だ。
◆「トランス脂肪酸」とは?(参考:農林水産省のHP)
問題の中心であるマーガリンなどは、植物油を原料にしている。
製造の過程で、植物油の不飽和脂肪酸を半固型の飽和脂肪酸に変える。
このとき、加工技術の一つとして「水素添加」が使われる。
◇ ◇ ◇
不飽和脂肪酸とは、炭素鎖に1つ以上の炭素二重または三重結合をもつ脂肪酸。
常温で液体の天然の植物油は、ほとんどが「シス型」の不飽和脂肪酸である。
「水素添加」の際、「シス型」の一部は不飽和のまま「トランス型脂肪酸」に変わる。
トランス型二重結合が一つ以上ある不飽和脂肪酸をまとめて「トランス脂肪酸」と呼ぶ。
総称なので、「トランス脂肪酸」には多くの種類がある。
しかし、食品中の「トランス脂肪酸」の総量を精確に測定する方法は確立されていない。
(アメリカでの規制については、下記を参照して下さい)
◇ ◇ ◇
飽和脂肪酸とは、炭素鎖に二重や三重結合を持たず(水素で飽和されている)脂肪酸。
飽和脂肪酸は、同じ炭素数の不飽和脂肪酸に比べて、融点が高い。
常温で固形あるいは半固形であれば、マーガリンなどに都合が良い。
◆「トランス脂肪酸」を含む食品
「トランス脂肪酸」は、天然の植物油にはほとんど含まれていない。
水素を付加して部分硬化油を製造する過程で発生する。
そのため、部分硬化油を原料とする製品に多く含まれている。
その主な食品は、マーガリン、ファットスプレッド、ショートニングなどである。
◇マーガリン、ファットスプレッド
日本農林規格(JAS)では、「マーガリン類」についての規格を定めている。
これには、マーガリンとファットスプレッドが含まれる。
両者は主として油脂含有率によって区別される。
油脂含有率が、
・80%を超えるものがマーガリン。
・80%未満のものがファットスプレッド。
日本で販売されている家庭用マーガリンの多くは、ファットスプレッドであるという。
水素添加によって作られる通常のマーガリンは「トランス脂肪酸」を7%前後含む。
ファットスプレッドは、5%前後含む。
◇ショートニング(参考:Wikipedia)
ショートニングは、主に植物油を原料とする、常温でクリーム状の食用油脂である。
マーガリンから水分と添加物を除いて純度の高い油脂にしたものと考えてよい。
パンや焼き菓子の製造などにバターやラードの代用として利用される。
無味無臭で、製菓に使用すると、「さっくり」と焼き上がる。
揚げ油に使用すると、衣がパリッと仕上がる。
ビスケット、パン、ケーキ、スナック菓子などの小麦粉加工品にも多く使われている。
(「さっくり」や「パリッ」という食感を意味する“short”が語源)
◇その他
牛や羊などでは、胃の中の微生物の働きによって「トランス脂肪酸」が作られる。
そのため、牛肉、牛乳や乳製品には、微量の天然「トランス脂肪酸」が含まれている。
天然の「トランス脂肪酸」もあるということだ。
植物から油を絞る際には、精製工程で好ましくない臭いを取るため、高温で処理する。
このとき、植物に含まれる「シス型脂肪酸」から「トランス脂肪酸」ができる。
サラダ油などの精製した植物油にも、微量の「トランス脂肪酸」が含まれている。
◆「トランス脂肪酸」の規制(参考:農林水産省のHP)
WHO/FAOの2003年のレポートで、「トランス脂肪酸」は、
・心臓疾患のリスク増加との強い関連がある
と報告された。
また摂取量は全カロリーの1%未満にするよう勧告されている。
「トランス脂肪酸」の摂取量増加につれ、認知機能が低下していくとも観察されている。
とにかく摂り過ぎは良くない。
日本人は「トランス脂肪酸」の摂取量及びエネルギー比が欧米に比べて少ない。
日本人の平均は、0.3%(2006年)である。
平均的には、日本は安全なようだ。
しかし、油脂は見えやすいが、ショートニングはどこに使われているか分かりにくい。
「さっくり」や「パリッ」の食感にも注意が必要なのだ。
結局、魚と野菜を中心に、バランスのよい食事を続けることが安心・安全ということか。
◇ ◇ ◇
アメリカでは、加工食品の栄養表示において、脂質では、
・総脂肪、飽和脂肪酸、コレステロール、トランス脂肪酸の4種類
の含有量の表示を義務づけている。
「トランス脂肪酸」には多くの種類があり、その全ての合計量を測定するのは難しい。
そのため、国によって多くの食品に適用できる分析法を指定している。
この分析法で測定した「トランス脂肪酸」の総量をまとめて表示するよう定めている。
3年後に、使用が禁止されるのは、これらの「トランス脂肪酸」なのであろうか。
◆前の記事への追記
「生食用冷凍エビ」は、ボチボチと消費した。
プリプリしているのは添加物のおかげ、縮こまらないのも添加物、…。
知ってしまうと、やはり、気分が良くない。体にも良くない。もう買わない。
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