新発田古地図:一歩一間歩詰惣絵図(1)
◆復元図が手元に来た!
天保年間(1840年頃)に作成された新発田の古地図『一歩一間歩詰惣絵図』。
読みは、「イチブ イッケン ブヅメ ソウ エズ」。(これまでの読みを修正)
その復元図が、今、手元にある。
原図は、個人の所蔵で、これを「新発田古地図等刊行会」が縮小復元した。
原図は、縮尺600分の1で、それをさらに45%縮小。
1974年(昭和49年)に、限定500部が頒布された。(価格 1,200円)
復元図は、新発田市立図書館も収蔵しており、申込むと閲覧できる。(写真撮影可)
『一歩一間歩詰惣絵図』の存在は、例の「城下町古地図散歩3」で知った。
そこには、文字がほとんど判読不能なほどの縮小版が掲載されていた。
その後、図書館で閲覧できたが、今度は大き過ぎて、うまく鑑賞できなかった。
手元でじっくりと鑑賞してみたいと、ずっと思っていた。
再び復元する運動を提起するしかないか、と思っていた。
そこへ、何の予告もなく、幸運の女神が舞い降りた。(7月31日)
刊行会に関わっていた方が亡くなり、遺品の中に、復元図等一式があった。
息子さんがそれらを、ある知人のところへ届けてくれた。(感謝!)
知人とはよく城下町の話をしていたが、そうした縁が古地図を導いてくれた。
借用した古地図は、複合プリンタのスキャナ機能でパソコンに取り込み中である。
ご好意に応えるべく、内容を読み解き、大いに活用しなくてはならない。
著作権に十分配慮しつつも、当図のPRのため、ごく一部を公開しようと思っている。
◆『一歩一間歩詰惣絵図』の特徴
主な特徴:
-- ・城下町全体の武家町、町人町、寺社の屋敷割りを全て網羅している
-- ・町人町を含め、各屋敷地の住人名が記載されている(判読力を要する)
-- ・主な屋敷地の間口と奥行の長さが記載されている
-- ・サイズは、原図(縦200cm、横260cm)の45%縮小(縦87cm、横119cm)
◆『明治初年 新発田城町絵図』との比較
明治初年版の町絵図の主な特徴:
-- ・武家町、寺社のみの屋敷割りと住人名を記載している(文字は判読容易)
-- ・清水園、諏訪神社、上鉄砲町などの部分が割愛され、新築地が追加されている
-- ・全体的にシンプルで見易く、道路も現状によく適合している
-- ・サイズは、縦78cm、横105cm
-- ・ネットの古地図ショップで購入(2,700円)できる
<古地図を手にして城下町を回る>には、これの方が適している。
町人町や上鉄砲町付近の情報は『一歩一間』で補完する。
かなり、理想的な組合わせである。
◆『一歩一間歩詰惣絵図』の名称の意味は不詳
「一歩一間」は、「一間」を「一歩」に縮小したということのようだ。
「一歩」がどういう単位なのかは、ピッタリした説明が見つからない。
「歩詰」は「一歩」に満たない部分を四捨五入するということ。
■