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『商人訓』の出典は?

◆「福沢諭吉」とは確認できない
『商人訓』は一般には、「福沢諭吉」の言葉と思われているようである。
Webで検索すると、慶大生が嘆いていたりする。
「慶大生でありながら福沢諭吉の『商人訓』を知らない」

また、慶大図書館のHPに、FAQが掲載されていた。
「福沢諭吉の『商人訓』について教えて下さい」
まさにぴったりの質問である。

回答は、「図書館の資料や専門家の意見によれば、
『商人訓』が福沢諭吉の作であるとは確認できませんでした。
ただし、丸善株式会社のHPの創業時資料の中に類似の文章があります」

◆丸善のHPで
丸善とは、あの日本橋丸善(書店)で、明治2年(1869)創業の老舗企業。
創業者の早矢仕有的(はやし・ゆうてき)は、福沢諭吉の私塾(後の慶應義塾)で学んでいた。
福沢に実業家としてのの才能を認められ、支援を受けて「丸屋商社」を設立した。

そのときの日本初の会社設立趣意書が『丸屋商社之記』である。
これは福沢諭吉が書いたともいわれている。
その一節に『商人訓』に類似した表現があるとのこと。

『商人訓』は、それを独立させてまとめたものではないか。
してみると、やはり「福沢諭吉」の言葉かも。
すばらしい教えと表現は、この人ならではと思う。

◆それにしても
今、噛みしめるべきは、『商人訓』である。
勤倹実直な日本人本来の特性がそこにある。
100年に一度の危機といって騒ぐより、140年前の『商人訓』に戻ることだ。

◆『商人訓』(再掲)
商人は
一旦の利に誇ることなく、一旦の損に驚くこと莫れ。
唯恐れ慎むべきは、日々月々、軽々の損なり。
唯希い望むべきは、連綿不断、軽々の利なり。
一旦の損は、連綿軽々の利を以って救うべけれど、
連綿軽々の損は、一時の利を以って補い難し。