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国のあり方:経済から文化へ(結の巻)

◆文化立国のすすめ
日本の再生は、文化立国を目指すことにある。
地方の独自性(地方色)から発信される豊かで多様な日本の【文化】。
もはや「経済」をあれこれといじくり回せばなんとかなる、という日本ではない。

「経済」では、地方は活性化されない。(地方は経済では非効率ゆえ軽視されるから)
「経済」では、社会は幸せにならない。(豊かさは豊かな者へと優先配分されるから)
「経済」では、利益を追求しては破綻する。(自己破綻を防ぐ仕組みを持たないから)

【文化】は、地方を自立的に活性化する。(地方色を発揮し互いに切磋琢磨するから)
【文化】は、社会に安心安定感を与える。(個人の年功が累積・評価されていくから)
【文化】は、「経済」をも活性化させる。(独創的文化は海外との競合に優位だから)

◆文化立国への道
【文化】を基盤とする考え方で世界をみると、興味深いことが分かる。
「経済」=GDPでは、米欧日中が四極を占めている。
日本以外の米欧中は、人口も面積もはるかに大きく、民族も言語も宗教も多様である。

米国は、自由を求めて世界の英才が集結し、移民も流入し、IT・農業大国でもある。
欧州共同体は、【文化】と「経済」を共存させており、多様性はいうまでもない。
中国は、最大の人口が老齢化するまでは、経済成長し、規模の利益を享受し続ける。

では、人口も面積も小さく、民族も言語も宗教もほぼ単一的な日本はどするか。
それは、独自の多様性に富む【文化】を基盤とする文化立国を目指すことだと思う。
米欧中+印の「大」に伍し、「小」ながら【文化】で確実に<一極>を構成できる。

日本が「経済」で成長できたのは、【文化】が育んだ人的資源のお陰であった。
それを認識せず、「経済」は【文化】を破壊し、ツケが回って社会は破綻状態だ。
これからは、【文化】を維持・発展させるために「経済」を利用することだ。

◆高齢化社会には【文化】を
【文化】には年季が必要で、年をとって経験を積むことがレベルの向上につながる。
伝統に重みがあり、熟成には時間がかかり、高齢化はむしろプラスである。
経験を積み、創意工夫を重ねて、技能・技術が維持され発展していく。

「経済」は、とくに近年の技術開発志向経済は、早い者勝ちのデス・マッチだ。
既存の技術を次々と陳腐化させて、新製品で先行者利潤を挙げることが目的になる。
あくせくと前進するしかない企業は、開発部門で若者を優遇し、中高年はゴミ扱いだ。

消費者も新しい技術の商品に順応する若者が主役で、高齢者は疎外され勝ちだ。
デジタル経済社会では、その格差がきわめて大きくなった。
少子化で「経済」を支える若者が減り、増える高齢者は「経済」のお荷物になる。

つまり、『少子高齢化社会では、既存の「経済」は成り立たない』ことがわかる。
だから、経済学者も次の日本の「経済」に有効な政策を提案できない。
環境、省エネなどの有望とされる産業も、新興国とのデス・マッチが待っている。

もはや、日本は「経済」では成り立たないのだ。
この絶望的な閉塞感を、国民は肌で実感している。
谷垣自民党や経済学者が、依然唱える経済成長路線は、ただ空虚に響くだけである。

残念ながら、民主党政権も社会変革の政策を明示できていない。
文化立国を政策の軸にすれば、「経済」の次に来る社会の姿が見えてくる。
【文化】は、「経済」を排除するものではなく、「経済」にも新たな活力を与える。

【文化】を再生して地方を再生し、地方を再生して日本を再生する。
文化立国は、経済立国とは全く逆の理念なのである。
文化立国で、世界の<一極>で輝き続ける日本を、ぜひ創り上げたいものである。