« 日本の課題~人材育成 | メイン | 引越しの準備中 »

事業仕分けのネット中継

◆仕分け作業のライブ中継
インターネットで、政府の行政作新会議WGの「事業仕分け」をみた。
3会場を並行してライブ中継している。
画期的な試みであり、民主党政権のクリーンヒットだ。

◆視聴したのは
国土交通省、農林水産省、外務省の予算の仕分け作業。
仕分け人と官僚の議論は、真剣で聞きごたえがあった。
予算の内容、目的、問題点が、ある程度まで理解できた。

◆おおまかな内容
もともと仕分けの俎上に載せられた予算なので、官僚側に分が悪い。
事前に一度打合せをしておいてから、この公開の本番に臨む。。
約1時間の議論で判定するのは難しいと思うが、やってみることに意義がある。

国土交通省(24日)では、地域の活性化に関する事業が対象。
官僚の説明では、予算事業にあまり魅力がなく、効果もなさそうだ。
11人の仕分け人のうち7人が廃止と判定。

農林水産省(24日)では、畜産関係の補助金が対象。
税金が、独立行政法人を通り、複数の業界団体を経由して、農家に届く。
中間に多額の基金(非常時の救済融資用))が滞留している。

天下りのいる機関を経由するルートは、すぐには変えられない。
農家のために予算は必要なので、今回は余剰基金を返還させると判定。
本来は、政府全体で金の流れを抜本的に変える必要があるということだ、

外務省(24日)では、政府開発援助(ODA)が対象。
病院を建設するなら、医療スタッフの確保も援助すべきだ、などの指摘があった。
援助プロジェクトの事後評価を確実に実施するように、と注文が付いた。

外務省(25日)では、国際交流基金が対象。
約800億円の基金は運用責任があいまい、国へ返還してはどうか、との指摘があった。
事業の第三者機関による評価が必要だ、コスト削減の努力が必要だ、なども。

◆官僚は反省を
仕分け人の質問に、官僚側が不十分あるいは的はずれな回答をする場面も目立つ。
これまでは、外部から内容を細かく問いただされた経験がないためであろう。
仕分け人の学習度に比べ、官僚の説明努力の欠如が浮き彫りになった。

官僚の説明は、天下り先&既得権益を維持しようとする魂胆がチラチラ。
官僚の説明は、安く簡便な方法を採用する意識に著しく欠ける。
官僚の説明は、以前からやっていて問題はない、とする傾向が多い。

◆感想
インターネットで閲覧できるのは、非常に良い情報公開だ。
各セッションの最初から最後まで、全てが中継される。
カメラは据え置きで、ずっと会議場を映している。

淡々として単調で、画質も劣るが、むしろ会議場のナマの熱気が伝わってくる。
TV中継(録画)のようなカメラワークや場面編集はない。
TVでは、わざとらしい演出もあり、場面のつまみ食いしかしていない。

議論の流れの中で、ひとつの場面が生じ、評決に至る。
場面の切り貼りも、仕分け人の表情のアップも、ときに事実をゆがめて伝える。
それ(だけ)を見てコメントするワイドショーは、TV報道の堕落を象徴している。

省庁にある<記者クラブ>の意向もあるようで、マスメディアは事業仕分けに批判的だ。
報道に省庁寄りのゆがみが感じられもする。
これでは、事実を淡々と伝えるネット中継に、マスメディアは勝つことはできない。

 ◇ ◇ ◇

今回の事業仕分けで、<官僚組織の甘さの弊害>が多く公開の場にさらされた。
事業仕分けの対象分野以外でも全く同様であろう。
それが、予算をいくら削減したかなどより、将来のための大きな成果なのである。

もはや自民党政治に戻すべきではない、という政治ショーでもある。
事業仕分けに批判的な自民党やマスメディアは、旧態依然の意識のままだ。。
事業仕分けは、来年度はより多くの予算について、実施して欲しいものだ。