◆新<城下町>のバーチャル用仕掛け
バーチャルな<城下町>には、それを可能にする仕掛けが要る。
訪問者には、仕掛けによって<城下町>のイメージをより鮮明に描いてもらう。
ハードとソフトの仕掛けを高度に有機的に統合することが肝要だ。
これらは、『新<城下町>創造計画』とでもいう20年位の計画で揃えていく。
計画を広く公表し、進行状況を公開し、新<城下町>の創造をアピールする。
早く完成して欲しいと思われるような計画を立案したいものだ。
仕掛けがある程度充実してくれば、堂々と主張できる。
・<城下町>散策なら新発田へ行こう。
・<城下町>学ぶなら新発田へ行こう。
◆いろいろな仕掛けの例:
1)旧町名を<通り>名として復活
まずは、旧町名の復活である。
復活といっても、『町』の軸にあたる通りの名称として復活する。
旧町名は、通りをはさんで割り付けられていたので、きわめて好都合で有効だ。
2)旧町通りに情報拠点を開設
バーチャル<城下町>の基本は、適切な情報を適切に提供することにある。
主な旧町通りに情報拠点を設け、情報端末や各町独自の展示を備え、ガイドも置く。
各情報拠点は、基本デザインを共通とし、4~5箇所に置く。
展示物は、使われていた道具類や作られていた製品、町のイラスト、歴史、町割り図など。
これらは、実物であっても複製、復元などでも、なんでも良い。
職人の『町なら』近辺に希望者を募って工房を開設し、展示・即売するのもいい。
『町』の貴重な情報源は、特に70歳代以降の方々だ。
<城下町>時代の賑わいを偲ばせる昭和20~30年代を確実に経験している。
ご健在なうちに、持てる情報をできるだけ提供してもらい、記録・集積・活用することだ。
3)道路環境の整備
主な旧町通りは、電柱の地中化、路面の装飾を進めることが望ましい。
<城下町>全体では、歩行者・自転車優先を原則とし、速度制限などを徹底することだ。
住民やボランティアの協力を得て、『町』を花で飾るようにもしたい。
4)大手門の復元
箱物としては、二の丸中の門と三の丸大手門をぜひ復元したい。
門の周囲の堀と石垣も、形だけであっても、あわせて復元する。
これで、上鉄砲町から本丸までの「登城」コースが実現される。
二の丸中の門の位置は、現在、県立病院跡地で空き地であるから、計画次第だ。
三の丸大手門の位置は、現在、新発田警察署が置かれている。
いずれ訪れる建物の更新時に、しかるべき地に移転していただくことを期待したい。
5)新発田城の復元コンピュータ・グラフィックス
美麗なる新発田城をコンピュータ・グラフィックスで復元する。
三次元の映像で、お城を自在に鑑賞できるようにする。
バーチャル新発田城である。
6)城下町資料館
城下町に関する資料・情報を総合的に管理する機能が必要だ。
新発田城の復元コンピュータ・グラフィックスもここで公開する。
JR駅前に分室を置き、観光案内所と併設して、観光案内サービスを提供する。
現在、市役所の移転が計画されているようだ。
跡地にこの資料館を置くのも一案で、図書館の正面でもある。
市役所は旧・三の丸の武家屋敷跡にあるので、三の丸情報拠点も置くといい。
7)お堀ブルーライン
お堀で残っているのは、本丸の堀の3割位で、他はすべて破壊された。
せめては、本丸全体と、二の丸中の門・三の丸大手門周りの石垣と堀は残して欲しかった。
痕跡も無いために、城の二の丸・三の丸の範囲が全く分らない。
そこを補うために、堀の跡を明示するマーカーを、道路に連続的に付けるのが一案だ。
ブルーのマーカーを見れば、そこに堀と石垣が存在したことを認識できる。
お堀ブルーラインは<城下町>のイメージの重要な要素となる。
8)城下町巡回マイクロバスの運行
旧町を巡回するマイクロ・デマンド・バスを運行する。
停留所名は旧町名とする。IC乗車券で一回100円とか、一日500円とか。
観光客だけでなく、住民も利用できればよい。
(キリがないので、ひとまずここで締めます)
◆まとめ
<しずけさや いわにしみいる せみのこえ>
芭蕉の名句で、一度覚えれば心に沁み込んで、一生忘れない。
思い出すたびに、情景が目に浮かび、感動する。
この17文字をランダムに並べたとする。
暗記しろといわれても難しく、暗記してもすぐに忘れる。
意味のない文字の羅列は、何のストーリーもイメージも生じないからだ。
◇ ◇ ◇
現在の<城下町>では、新旧の入り混じった観光スポットを渡り歩いて散策する。
相互のスポットに脈絡は無く、単発的な感動の繰り返しで、心に留まらない。
意味のない文字の羅列と同じである。
新<城下町>では、バーチャル用の仕掛けのある現在の<城下町>を散策する。
そこでは、過去の<城下町>をバーチャルなイメージに描きながら散策する。
明快な脈絡のストーリーがあり、イメージとして心に刻まれる。
◇ ◇ ◇
新発田は、新<城下町>を実現できるまことに稀有な存在である。
歴史と現在の<城下町>資産を活用し発展させることが、未来への課題である。
挑戦しがいのある課題と思う。
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