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城下町散策を考える~新・古地図で散策

◆『新・古地図』とは
<城下町>の古地図は、江戸時代に作成された絵図のような地図である。
城下の屋敷割りを主に記載しており、いわば<住宅地図>のようなもの。
正確な当時の城下の様子を知るには、貴重な史料だ。

その古地図を現代地図に重ねて表示できれれば、さぞかし便利だろうなと思っていた。
しかし、それはきわめて難しい。
古地図は、一枚の中で方位や縮尺が統一されていないためである。

結局のところ、現代地図に古地図のデータを手作業で転写するしかない。
作業は、パソコンでデジタル地図として作成する。
ところが、下敷きにする現代地図にも、実は問題がある。

現代地図には、<城下町>にとって不要なデータが多く掲載されている。
そこで、道路のみをトレースして、必要なデータは後から追加することになる。
これも手作業で、ここに古地図のデータを手作業で転写し、各種表示機能を付加する。

これを『新・古地図』と呼ぶことにする。
『新・古地図』を見れば、城郭の縄張りや町割り、<城下町>の全体像がバッチリだ。
この『新・古地図』と各種史料やデータを連動させれば、いっそう効果が期待できる。

◆新発田の『新・古地図』を試作
「城下町・新発田の散策マップ」は、徐々に『新・古地図』に近付いてきた。
当初は、写真入りのショッピングや散策のコースのマップを作成するつもりであった。
古地図から、<城下町>のデータを転写するに従って『新・古地図』化してきた。

屋敷割りの一部を入れると、侍町の『町』の顔が浮かび上がってくる。
<城下町>では、屋敷割りの広さでその『町』の<格>が分る。
どの『町』に屋敷割りされているかで、その武家の<格>が分る。

三の丸の一部、地蔵堂町、八軒町、八軒町裏の屋敷割をマップに追加した。
この順に、敷地が大→小となるのが一目瞭然だ。
屋敷割りは、<格>から見た<城下町>の構造を示す重要なキーなのである。

このマップは『新・古地図』の試作品である。
個人では作業量にも精度にも限界があるが、なかなかに楽しい作業である。
屋敷割りは、あと5~6町を追加し、<城下町>の姿の一側面を明示してみたい。

◆侍町の<バーチャル>な散策コース
萩や弘前には武家屋敷が残っているので、侍町散策コースは観光の目玉になっている。
新発田では、武家屋敷は残されていないので、そうしたコースは考えられなかった。
しかし、<バーチャル>であれば、思いもかけない「侍町散策コース」が実現する。

ただ、ここでいう<バーチャル>は、現実の『町』から遊離したものではない。
実際に散策できることが必要だ。
屋敷割りの追加と現地調査と写真が必要なので、実現にはあと1ヶ月位かかりそうだ。