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2011年04月30日

原発事故:50日を経過

◆50日を経過
3.11の大震災・巨大津波から、50日が経過した。
事故を起こした原子炉は、一応、制御された状態にある。
種々の対策を講じる時間が得られることを願う。

そんな中で、政府の対応が一部改善された。
今まで何をしていたのか、と言いたいが、改善するのはいいことだ。
ただ、問題点も改めて浮き彫りなっている。

◆記者会見の統合
25日から、関係する記者会見が統合された。
これまではバラバラで、発表内容の重複や食い違いが指摘されていた。
政府と東電の「福島原発事故対策統合本部」が主催する形に変更された。

経済産業省保安院、原子力安全委員会、文部科学省、東電が一堂に会する。
会見の総括は、対策統合本部事務局長の細野内閣補佐官が務める。
50日も経ってからであるが、ともかく、すっきりはした。

それにしても、記者の質問は、相変わらず、重箱の隅をつつくようなものが多い。
会見の形式は変わっても、記者の低脳度ぶりは変っていない。
これでは、マスコミの政府・東電に対する監視機能は、全く果たせない。

◆汚染マップの公開
文部科学省が、やっと、放射能の汚染マップを公開した。
各測定地点の汚染値の推移と累積値が分るようになった。
公開は遅れに遅れ、文部科学省の官僚的体質も公開された。

◆原子力安全委員会がお詫び
班目委員長は、27日午後の衆議院決算監視委員会で、事故についてお詫びした。

 ・原子力の安全基準に不備があったこと
 ・事故発生直後の緊急事態応急対策調査委員の招集が不調であったこと
 ・現地への調査委員の派遣が、事故後1ヶ月と送れたこと

こんな役立たずの委員会など要らない、と言いたいところだ。
原発推進のための隠れ蓑で、天下り官僚と御用学者の集まりだ。
国民のための正常な委員会に改組しなくてはならない。

それに、緊急事態応急対策調査委員(長すぎる!)の招集の件は、東京一極型の失敗だ。
携帯電話もメールもつながらず、交通もマヒして、40人中数人しか集まらなかったという。
少なくとも大阪と二極化し、緊急時に備えるべきである。

2011年04月22日

原発事故:原子力無策

◆原子力無策のツケ
原発事故の深刻さと政治的対応の混迷は、日本の原子力無策のツケといえる。
ひとつには、『原子力安全神話』の流布と大津波による神話崩壊である。
ふたつには、『放射能リテラシーの欠如』による風評と住民の不安・不満である。

◆『原子力安全神話』
原子炉は絶対に安全で、放射能が外部に漏れる心配はない。
これが『原子力安全神話』である。
したがって、国でも地域でも、放射能対策は全く講じられていなかった。

政・官・産・学の原子力複合体にマスコミも加担して、この神話を築き上げてきた。
自分でも、原子力は安全だと思い込んでいた。
クリーンで、安価で、安定して安全なエネルギー、‥‥。

それが大津波で、完璧に崩壊してしまった。
大量の放射性物質が、原発の外部に漏れ、無防備なままの環境を広く汚染した。
原子炉を安定させる手段は失われ、危機的な状態は長期間続く。

◆『放射能リテラシーの欠如』
わが国では、<放射能>といえば、広島・長崎の悲惨な被爆体験が想起される。
反<放射能>は、反戦運動や反原発運動とも絡んで、政治・社会の対立を生んだ。
反原発では、<放射能>源である原発の存在は、全否定される。

存在を否定する原発の<放射能>対策を考えれば、存在を認める自己矛盾に陥る。
<放射能>の漏れを<想定外>にしてしまったのである。
現実には存在する原発、そこから<放射能>が大量に漏れ、なすすべがなかった。

一方、原発推進派は、<放射能>漏れはない、として原発を建設してきた。
<放射能>は無いのだから対策は不要だ。
<放射能>の漏れを<想定外>にしてしまったのである。

 ◇ ◇ ◇

いずれにしても、<放射能>とまともに向き合ってこなかった。
<放射能>について、知識、危険性、避難計画などは周知徹底されることがなかった。
事故後の混乱は、この<放射能>リテラシーが欠如した結果もたらされた<人災>だ。

<放射能>汚染の風評被害も深刻である。
こちらは、福島県はもとより、茨城県、千葉県なども巻き込んでいる・
日本全体でも、輸出や観光などに大きな被害が発生している。

風評は、政府や東電の情報提供・開示の稚拙さにも起因している。
緊急時の情報リテラシーの重要性を認識しなければ、国家に重大な損失が生じる。
事故後の混迷は、この情報リテラシーが欠如した結果もたらされた<人災>だ。

2011年04月19日

原発事故:東電の事故収束工程表

◆やっとひとつの拠り所
4月17日、東電は「福島原発事故の収束のための作業工程表」を発表した。
第一段階(今後3ヶ月)で、原子炉と使用済み燃料プールの冷却などを実施。
第二段階(その後3~6ヶ月)で、原子炉の冷温停止状態を実現。

遅い。菅総理の指示で、急遽、作成したものと思われる。
内容は、問題解決の工程であり、問題(事態の深刻さ)認識は提示していない。
東電としては、眼前の問題にひたすら取組む姿勢を示す、ために作成したともいえる。

原子炉の正確な状況も、放射性物質の放出量も把握できていない。
次々と新たな問題が出てきて、その対処に追われている。(特に、超高濃度汚染水関連)
今までに工程表を作成していても、修正の連続であったかもしれない。

ともあれ、ひとつの目安にはなる。
ただ、時間的には、相当に厳しいと予想される。
現場の作業員の方々にシワ寄せがないよう、とくに配慮が必要である。

2011年04月13日

原発事故:レベル7

◆レベル7をようやく宣言
12日、原子力安全・保安院は、福島原発事故の評価を<レベル7>に引き上げた。
遅きに失した、というべきであろう。
いまさら<レベル7>としても、事態は少しも好転せず、さらに悪化を続ける。

大気中に放出された放射性物質の量を計算したら、基準を超えた。。
保安院は、3/15-16に起きた2号機の爆発で大量に放出されたため、と説明した。
ならば、その後すぐに<レベル7>に達していたことになる。

事故を矮小化しようとした東電、それに乗った保安院と政府。
事態が改善しているかのごとく、安定しかけているかのごとく、演じてきた。
マスコミも、それに同調して報道してきた。

その欺瞞は、とっくに破綻している。
事故の現実を直視すれば、すぐに分ることだ。
<レベル7>の発表後、マスコミもやっと<チェルノブイリ>に触れ始めたが‥‥。

◆反響
<レベル7>宣言に対する内外の反応は、データから見て「妥当」としている。
同時に、日本政府の危機感の鈍さも指摘している。
宣言は、政治レベルのダメさ加減をも世界に開示した。

中で、ロシアでは「7は過剰」との評価も示したという。
<チェルノブイリ>の惨状を知る故に、「福島など足元にも及ばない」といいたいのかも。
旧ソ連時代の事故の真相は、依然として<鉄のカーテン>に覆われているようだが‥‥。

また、中国政府は日本政府に「事故の状況とデータの完全な開示を要求」した。
もっともな要求ではあるが、一言いいたくなる。
国家で厳しい情報統制をしているのは、どこの国か、と。

◆<チェルノブイリ>とは異なる深刻さ
福島原発事故は、<チェルノブイリ>のような大惨事になる可能性は低いようだ。
しかし、異なる深刻さを抱えて、現在進行形だ。
しばら事態の推移を注視して、別途、記事を掲載したい。

◆菅総理も<レベル7>
このところの菅総理の言動は、もはや収拾がつかない情けなさだ。
総理までがレベル7>に至ったようだ。
日本の政治危機であり、何とかせねば。

先日(4/3)の記事でつぎのように書いた。
<最高権力者である総理がダメなら、押し込める(座敷牢とはいわないが)のも一案だ>
これを実行すべき時が来てしまったように思える。

民主党内では、例によって、小沢・鳩山氏が蠢(うご)めいている。
自民党も、相も変らず、首相退陣を迫っている。
しかし、こうした政局政治家達の手に負える日本の状況ではない。

そもそも「自分が首相ならどうするか」という具体的政策を提示して発言していないのだ。
いずれも、首相になったところで、安倍氏以来の1年内閣で終わるであろう。
政局がらみの政治空白が、また延長されるだけだ。

総理は飾り物にして、実務能力のある与野党政治家でチームを組むのがいい。
主導権争いなどしているヒマはないのだから。
政局にしか目の行かない<ゾンビ政治家>が登場する場面ではない。

2011年04月10日

原発事故:NHK危うし、日本危うし

◆NHK危うし
一号機に窒素を注入している。水素爆発を防ぐためという。
6日21時のNHKニュースウォッチ9でも報道された。
その実感は、NHK危うし!

解説記者が水素爆発の危険性に触れようとした瞬間、女性キャスタが<水>を入れた。
「高濃度汚染水の流出が止まりました」との明るい(?)ニュース。。
その解説の中で、解説記者が何と、東電に敬語を使った:「~しておられる」と!

◆日本危うし
NHKが、かたくなに報じないニュースがある。
そのひとつが、前にも述べた<コンクリートポンプ車>だ。
CNNは「世界最大の高さ70mの<ポンプ車>がアメリカから空輸される」と報じた。

先日のCNNのHPでは、トップ記事であった。
(米アトランタの現地紙(英文)では「東電が契約して手配」とある‥他Blogが掲載)
当然、NHKは知っている。しかし一切報じない。日経も読売(HP)もダンマリだ。

政府・保安院・東電にとって、<コンクリートポンプ車>はタブーである。
1987年、<チェルノブイリの石棺>を作ったのが、この型のポンプ車なのである。
<石棺>は原子炉全体を鉄筋コンクリリートで覆い、放出される放射能を封じ込める。

政府・保安院・東電は、冷却装置が復旧すれば、原子炉は安全停止できると説明する。
どうしても<コンクリポンプ車>→<石棺>→<原子炉の墓場>の連想を遮断したい。
NHKなどのマスコミも、その意を汲んで同調し、報道を差し控えている。

推測するに、アメリカの意向ではないだろうか。(ありがたいことだ)
日本の危機感の脆さを見かねて、<石棺>の準備を要求しているのではないか。
放射性物質の飛散を防ぐためには、早期の<福島の石棺>建設を検討することだ。

このまま汚染が進めば、原発周辺はもとより、福島県の相当部分が居住不能になる。
放射性物質が累積して汚染された土地は、それでオシマイなのだ。
政府・東電・マスコミは、毎日を目先の対応で空費しているだけなのである。

日本危うし!

2011年04月08日

原発事故:丸投げと丸抱え

◆東電に丸投げ
今回の原発事故は、徹底的に東電に丸投げされている。
最初からそうであり、現在でも変っていない。
原発事故でなければ、それでもよかったであろう。

現状を見れば、とても丸投げですむ状態ではない。
事故の深刻な影響は、農業、漁業、観光、輸出などに拡がっている。
放射能による海洋汚染や大気汚染は、国際社会でも問題になっている。

もはや東電の手に負えないのは明らかだ。
つまりは、政府が責任を持ちリーダーシップを取らなくてはならないのである。
実務的には、原子力安全・保安院が中心になる立場と思う。

しかし、その保安院は、原発推進の経済産業省に属し、東電とはラブラブでやってきた。
監督権限は見かけ上で、東電の報告に沿ってコメントするのがせいぜいだ。
そこから報告を受ける政府・内閣は、東電仕込みの論を唱えるしかない。

東電は、東電が、東電の、東電に、‥‥。
日本国として、この非常時にどうするんだよ?
やはり、自衛隊&米軍頼みか、いや、米軍&自衛隊&多国籍軍かも‥‥。

◆東電は丸抱え
今回の原発事故は、徹底的に東電が丸抱えしている。
最初からそうであり、現在でも変っていない。
原発事故でなければ、それでもよかったであろう。

事故を甘く見た東電は、自社だけで事故を処理しようと考えた。
我が社ならできる、我が社でなくてはできない、我が社しかできない、と丸抱えした。
そのため、事故の実態もひたすら抱え込み、外部には限定公開とされてしまった。

つぎつぎと発生する問題や、その解決の困難さは、東電丸抱えでは収拾困難だ。
誰が見ても、東電だけでは対処しきれないほど状況は悪化している。
東電は、速やかに丸抱えをギブアップし、国内外の支援を率直に要請すべきである。

2011年04月06日

原発事故:信頼できる放射能測定値が足りない

◆放射能測定値を隠す政府・東電・官僚
おかしい、きわめて異常である。
事故後の放射能測定値の公開が大きく損なわれている。
そこには、日本の情報公開を妨げる闇の世界がある。

闇の世界は、つぎのような既得権益者の複合体である。
無能政治家、省益官僚、御用学者、私益大企業、翼賛記者クラブなど。
闇の世界は、都合の悪い情報を協調・結託して、国民の眼から巧妙に隠す。

 ・存在していても公開しない
   東電は、作業現場の放射能計測値を公表してしない。
   気象庁、原子力委員会は、各々の放射能汚染予測マップを公表していなかった。

 ・都合の悪いものを除いて公開する
   東電は、特に危険なプルトニウムなどの計測値を除いて公表してしる。
   記者会見では、2号炉の底が、実質、<抜けている>ことに<誰も>触れない。

 ・部分的散発的にしか測定していない
   事故の記録を将来に残すための、全体的連続的な計測データの蓄積がされていない。

 ・サボタージュ
   現在の汚染マップが作成されていない。

 ・データの解釈をゆがめる
   ことさら半減期が短い放射性ヨウ素の濃度を強調し、セシウムなどは軽く扱う。
   海に放出した汚染水を、東電やマスコミは<低濃度>というが、実は基準値の千倍だ。

 ・データの計測や計算でミスをする
   東電は、公表した計測値のミスを指摘されたが、もはや信用できない状態だ。

◆国際機関による計測が必要
東電は、自らの都合で、計測値を取捨選択している。
原発事故は、東電という一企業の責任範囲を越えている。
計測は、国際的にも信頼できる機関に参加を求めるべきだ。

アメリカの機関であれば、計測値のデータベース化と公開を志向する。
これは不可欠で、東電や省庁では全く期待できない。
情けないが、それが日本の情報公開の現実なのである。

2011年04月03日

原発事故:すでに非常事態

◆非常事態宣言のタイミング
福島原発事故は、既に非常事態である。
マスコミ報道は、あたかも事態がなんとか収拾されると錯覚させる。
現実は、もはや通常の手段では収拾困難な状態になっている。

特に、2号機では超高濃度の放射性物質が、汚染水として流れ出している。
これは燃料脳が激しく損傷し、格納容器と圧力容器が共に底抜けしていることを示す。
これは未曾有の緊急事態である。

低脳度の記者会見では、汚染水が海に流れるのを防ぐ対策などを質疑応答している。
<モト>が肝心なのに、ピットに入れた凝固剤は何袋かなどと聞いてる場合かよ。
こんなアホ保安員とアホ記者は、ウチに帰って**して寝ろ。(**は伏字)

機を失せず、<非常事態>を宣言し、自衛隊&米軍に事故対処をゆだねるべきである。

◆東電という一企業による対処は限界を越えた
政府は、東電に丸投げのままだ。
東電は、丸抱えで必死の作業をしているが、事態の進展に後手後手だ。
すでに、東電だけの能力では対応できないほどに、事態は悪化し、拡大している。

◆政治家・官僚・学者には統治能力がない
国民、とくに住民の危機感は、政府(官邸)の感覚と大きな差がある。
「当面、安全だ」というような空念仏、空手形、希望的観測などは不要だ。
予想される事態と対応策を具体的に提示することが必要なのだ。

放射性物質が爆発的に放出されたら、どう対処するのか、が不明だ。
放射性物質が長期にわたって放出され続けたら、どう対処するのか、も不明だ。
「あらゆる事態を想定している」と官房長官は言うが、実際は<無策>だ。

 ・海から陸へ風が吹いたら、汚染はどう拡がるのか
 ・放射能の危険性と許容度の情報を、どう伝えるか
 ・緊急事態で広範囲の住民を、どう避難させるのか

各種委員会を作ってメンバーが議論しても、たぶん、役に立たない。
進行中の危機に対し、統治能力がほとんど無い。
かといって、内閣改造や内閣総辞職などやっている場合ではなく、変り映えもしない。

最高権力者である総理がダメなら、押し込める(座敷牢とはいわないが)のも一案だ。
総理には総理のままでいながら、必要な署名と捺印などをこなしてもらえばいい。
政治は、官房長官を核として、与野党協調で行うことにする。

◆自衛隊と米軍による作戦指揮
その上で、原発事故対処のための<非常事態宣言>を発令する。
事故対処の統合指揮を、自衛隊に委ねる。
もちろん、東電もその指揮下に入る。

敵軍隊が福島原発付近に上陸し、戦闘状態にあると考えれば分りやすい。
自衛隊は、そういう事態に対処できる唯一の組織であり、訓練を繰り返している。
米軍の支援も不可欠で、共同作戦本部を「福島市」に置いて、事故に対処する。

いかがであろうか。
国民や国際社会にも力強いメッセージを与えると思われるのだが。
備え過ぎても備え過ぎないのが原発事故なのである。