原発事故:国会迷走
◆国会の末期的迷走
23日午前に、衆院東日本大震災復興特別委員会をNHKの中継で見た。
自民党の谷垣総裁は、福島第一原発1号機の海水注入中断について追及した。
菅総理の対応の拙さを指摘し、退陣を迫る狙いであろう。
ところが、東電は26日になって「実は注入中断はなかった」と発表した。
原発の所長が、会社の指示に反して注入を続行した、からである。
結果的に、所長の行動は正しかったようである。
そもそも、メルトダウンした原子炉を3基も抱えている状況である。
2ヶ月半も前の問題をつついている場合ではない。
しかも、東電の情報隠蔽による<ガセネタ>を、野党第一党党首が取り上げた。
政局優先の国会の現状は、まさに末期的に迷走している。
低レベルのマスメディアの記者は、政局というと筆が躍る。
深刻な原子炉から目をそらせて、政局にうつつをぬかす。
◆放射能汚染水に歯止めがかからない
メルトダウンした原子炉では、核燃料に冷却水をかけ流している。
毎日約600トンの超高濃度汚染水が発生している。
それを貯めて置く場所がもう無い。再処理工場もまだ建設中。
梅雨に入り、台風も来るが、大雨の水が建屋の地下に流れ込んだらどうなるか。
超高濃度汚染水があふれて、再び三たび、海を汚染することになる。
その代償は計り知れないほどに巨大である。国際問題にもなる。
その海の汚染状況の調査について、水産庁などはきわめておざなりだ。
グリーンピースによる調査も、12海里の領海をタテに拒否したという。
汚染水の増加を抑えられず、貯める場所に行き詰まり、海洋汚染にも備えがない。
◆現場作業員が足りなくなる
放射能汚染の現場で働く作業員は、累積の被ばく量が限度を越えると作業を離れる。
原子炉の安定化が長期にわたると予想され、現場作業員の付し句が懸念される。
劣悪な作業環境の改善も急務で、各個人の生命にかかわる問題がなおざりだ。
◆無能な政府、無能な野党
喫緊の課題を議論できず、政局で迷走する国会は、無能政治家の寄合い所帯だ。
汚染水対策も作業員問題も、東電に任せ切りでは解決しない。
国を挙げて、緊急に取り組まなくてはならない状況なのである。
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