読書:「タネが危ない」
◆「タネが危ない」
野口 勲著
2011年9月5日発行 日本経済新聞出版社 1,840円
2011年9月7日購入
◆きっかけ
日経新聞の広告で見たのだと思う。
発売直後に、荻窪の八重洲ブックセンターで購入。
置き場所が分らず、店員に探してもらったら、<ビジネス書>の棚にあった。
◆F1野菜の衝撃
内容は衝撃的で、「タネが危ない」どころか<日本人が危ない>のだ!!!
-- ・既に日本中を席巻するF1野菜は、『異常なミトコンドリア遺伝子』で作られる
-- ・F1とは、自然界の生物の原理に背いて、次の世代を再生産できない品種である
-- ・F1は、大量生産大量消費の経済原理がもたらす当然の帰結でもある
我々は「菜食は健康食だ」とばかりに、異常遺伝子のF1野菜を食べている。
ダイコンもニンジンもハクサイもタマネギもコマツナもブロッコリーもパプリカも…。
日本はそのF1から、もはや逃れられない状態にまで陥っているのだ!!
◆野口さんの警鐘
本書の著者・野口さんは、埼玉県飯能市で種苗店を経営している。
F1種は一切扱わず、在来種(固定種)のみを育成・販売している。
日本で唯一といわれる孤軍奮闘の種苗店だ。
その野口さんが、F1に支配される社会に警鐘を鳴らす:
-- ・F1という人工的で異常な野菜を食べ続けて、人間は大丈夫なのだろうか
-- ・本来の野菜の味を失ったF1は、伝統的食文化を崩壊させるのではないか
-- ・在来種(固定種)は絶滅の危機に瀕している
◆野口さんの知見
本書では、F1の歴史や具体的な生成手法、遺伝的特性などまで解説している。
各F1の生成方法は、企業秘密の厚いベールに覆われていて、詳細は分からない。
野口さんは深い知見で説明してくれるが、<遺伝>の基礎知識もないと理解は難しい。
ネットを探し回っても、野口さんの知見を越える内容の記事は見つからない。
F1の細胞のミトコンドリア遺伝子にまで踏み込んでいる記事は見当たらない。
だからF1野菜が健康に与える危険性をリアルに語れない。
◆まとめ
F1が健康に及ぼす影響をまとめると、
-- ・F1種は「雄性不稔」という異常なミトコンドリア遺伝子を利用して生成される
-- ・F1種のミトコンドリア遺伝子は、自らの種を再生産できない一代雑種である
-- ・異常なミトコンドリアの安全性(危険性)についての研究は、未だほとんど無い
たとえば、市場に流通しているタマネギの90%が、既にF1種だといわれる。
F1タマネギ1個の重さの約10%がミトコンドリアだそうだ。
こういうF1野菜を食べ続けて、ホントに我々の未来は大丈夫なのだろうか?
(F1については、引き続き「blog食!」で考えます)
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