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読書:樋口一葉 『たけくらべ』

◆「恋する一葉」 ~ NHK BSプレミアム
樋口一葉の名作『たけくらべ』をこれまで読んだことはない。
文語調で旧仮名使い、読みの難しい漢字、どうにも取っ付きにくかった。
五千円札に印刷されえているけれど、一葉にも作品にも関心が薄かった。

それが、ある日一変した。

1/15(火)の朝、何気なくチャンネルを合わせた<BSプレミアム>。
その番組が「ドキュメンタリードラマ 恋する一葉」であった。
つい見入ってしまい、一葉の生き方を知って、すっかり感動した。

24日(木)の深夜の再放送で、初めから見直した。
わずか24歳の短い人生で、明治の女性作家の先駆者として、数々の名作を残した一葉。
その作品を一つも読んでいなかった自分が、実に情けない。


◆『たけくらべ』~ 朗読で聴く
で、代表作『たけくらべ』を、ぜひ、読んでみたくなった。
文庫本も持っていないので、<青空文庫>からファイル(XHTML)をダウンロード
早速、読みかけるが、やはり、すらすらとは読めない。眼も弱っている。

そこで、<朗読>してくれるサイトはないかと探した。
樋口一葉の朗読目次サイト:<新>日本名作文学朗読選(11) 樋口一葉
『たけくらべ』の朗読サイト:たけくらべ(朗読:yukari)~ 約120分

このサイトのyukariさんの朗読は、表現豊かで、とても聴きやすい。
おかげで、ついに『たけくらべ』を通読(通聴)することができた。
感謝感激!


◆『たけくらべ』~ 感想
明治28年(1895年)1月~明治29年(1896年)1月に雑誌に連載された。
22~23歳の一葉が貧困の中で織り上げた作品である。
一葉は、完稿の年の11月に、24歳6ケ月で亡くなった。

朗読をもう3回も聴き、そのたびに魅せられる。
一葉の描く世界に自分が佇んでいるように感じてしまう。
名作と言われるゆえんであろうが、『たけくらべ』は別格の名作だと思う。

文章は、簡潔で、適確で、繊細で、リズミカルで、広角で、色彩が鮮やかだ。
登場する子供達は、皆それぞれに『たけくらべ』をしながら、生き生きと生きている。
やがて入っていく大人の世界を見ながら、子供の世界を生きている。

女性でなければ書けない、明治でなければ書けない、文語調でなければ書けない。
そこに一葉がいなければ書けない、だから、一葉でなければ書けなかった。
『たけくらべ』はそういう小説なのだ。


◆「恋する一葉」の番組情報
[BSプレミアム] 2013/01/15(火)9:00-11:00(120分)
樋口一葉を演じる事になった2人の女子大生が、その実像をたどるドキュメンタリードラマ。
一葉の日記や新発見資料から、悩みながらものびのびと生きる一葉の姿を紹介する。